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PixivのUI、どう改善すれば良かったのか

私のポリシーの1つが『自分が手を出したことのない分野に対して好き勝手言わない』ということがあります。その点で前回の記事はグレーゾーンに入ってしまった気がしてもやもやしました。本当はPixixのUIをより改善することが非常に難しいのがわかっていたからです。

ウェブ設計の本当の難しさ

まず前回の記事の補足を書きます。デザインやUIの設計をする際に、それを難しくしてしまう以下のものがあります。

  • レガシーシステムの保守・管理・改善が必要である
  • マルチプラットフォーム・デバイスで展開している

Pixivの場合は、他にも他言語への対応や、年齢制限の配慮、広告収益などいろいろな要素が絡んでいることは間違いありません。

マルチプラットフォームで展開することはものすごく大変です。なぜでしょうか。複数のデバイスで動作させること自体はそれほど大変ではありません。しかし、プラットフォームごとにUIの考え方やルールが異なるので、それに合わせなければなりません。

すべてのプラットフォームに向けて個別にコンテンツを作るのは非現実的です。どう考えても人手が足りません。ですから単一のソースをいかに様々なプラットフォームに合わせて見せられるかがポイントになってきます。

そして、すべてのプラットフォームに対して最適化を行うのはやめた方がいいです。これは、八方美人になろうとすることに似ているかもしれません。メインターゲットを決めたら、その他は妥協するしかないでしょう。

PixivはウェブサービスだけでなくiOSアプリやAndoroidアプリでも閲覧・投稿できます。そしてそれらは他の関連サービスと連携しています。そうなると一つ変更するだけで全体に影響を及ぼすことになります。この中でバランスをとってUIを設計するのは非常に難しいと言えるでしょう。

それでも、こうした方がいいんじゃないか、どう考えてもこれは悪手だ、と思えるところがあるかもしれません。とはいえ、それを適用する前に、すべてのSNSに共通する、とても当たり前ながらも、見過ごされがちな事実を踏まえる必要があります。

SNSはビジネスとして成り立つ必要がある

すべてのSNSはビジネスです。もちろん、それぞれに理念があり、例外も存在します。例えば個人的にSNSを運用しているようなケースです。とはいえ、企業がSNSを運用する場合は、それらはビジネスとして成り立っていなければなりません。

例えばTwitterもそうです。Twitterはほとんどの機能を無料で使えますが、もし全く利益が生まれなければ赤字になってしまい、いずれ倒産してしまうかもしれません。SNSはボランティアではないのです。

企業には理念があり、働いている人々にはそれぞれの考え方や理想があります。楽しく有意義に使ってほしいと思っていることでしょう。それでも企業である以上、利益がなければ立ち行かないのです。

コンバージョンを達成するということ

Pixivは狭義ではSNSではないかもしれませんが、ウェブサービスとして利益を生み出さなければ継続が困難になることは明らかです。そして、どうすればユーザーの満足度を損なわずに利益を得られるのか、そういったデータを持っているのは中の人だけです。

ウェブの世界のおいて成果のことをコンバージョンと呼びますが、ウェブ製作において最重要視されるのがコンバージョンです。

例えば、通販サイトの製作者になったとしましょう。ウェブサイトの見栄えをよくして、プロモーションも積極的に行い、たくさんの人が訪れるようになりました。しかし、商品を買ってもらえなければ通販サイトとして成り立ちません。

コンバージョンは一つとは限りません。複数のコンバージョンを設定して、それらの達成に向けて改良を続けるのが、ウェブ制作の基本的なプロセスです。

Pixivが何をコンバージョンに設定しているのかはわかりません。何らかのコンバージョンがあること、それを達成するために入念にテストを行なったことは想像に難くありません。

そして、前述の利益を生み出す必要性、マルチプラットフォームの難しさ、レガシーシステムの改良など、様々な要素を統合して考えた結果、現在のUIになったのでしょう。

自分だったらどうするか

それでも、このUIはないんじゃないか、もう少し改善できるんじゃないか、前のままでも良かったんじゃないか、などいろいろな考えがあると思います。

そこで、私だったらどうするかを真剣に考えてみたいと思います。最初に正直に言いますと、考えることの多さに気が遠くなりました。

階層を把握する

まずは階層を把握する必要があります。Pixivの階層はホームから非常に多くの枝分かれがあります。正確なものではありませんが、ざっと紹介するとこんな感じになります。

  • イラスト
  • マンガ
  • 小説
  • フォロー新着
  • ディスカバリー
  • フィード
  • ランキング
  • みんなの新着
  • コンテスト
  • リクエスト
  • グループ
  • イベント
  • ユーザー企画
  • 描き方
  • 創作アイディア
  • お知らせ
  • ヘルプ
  • 利用規約
  • プライバシーポリシー
  • 特定商取引法に基づく表記
  • 運営会社
  • 広告掲載
  • 採用情報
  • 作品を投稿する
  • 検索
  • メッセージ
  • 通知
  • プロフィール
  • フォロー中
  • フォロワー
  • ダッシュボード
  • リクエスト管理
  • ブックマーク
  • 閲覧履歴
  • しおり
  • お金管理
  • 言語設定
  • ダークテーマ
  • 設定
  • pixivプレミアムの機能
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  • BOOTHでフォロー中のユーザーの新着アイテム
  • みんなの新着
  • 関連サービス

・・・・・・。もう逃げたいです。こんなのどう管理すればよいのでしょう。これらをコンバージョンを達成する仕方でサイトを構築していく必要があります。

ざっくりとデザインを考える

仮にPaxiv(パクシブ)という名前でサイトデザインを考えていきたいと思います。とりあえずあまり深く考えずにザクザクとデザインを考えてみます。

小一時間かけて、とりあえず出来上がったデザインがこちらです。

うーん・・・。やっぱりデザインは難しいですね。ざっくりとデザインを作ってみたものの、過去のPixivにも現行のPixivにも遠く及ばないものになってしまいました。

主な方針としては、全体は1カラムでモダンさを出しつつも、所々3カラムにして情報を凝縮させるという感じです。

新着作品の類は、負荷をかけすぎない程度に、リアルタイム更新するといいかもしれません。ランキングはデイリー、ウィークリー、マンスリーをタブで選べるようにしたいです。

自分のアイコンを押すと、直接ダッシュボードに飛ぶようにして、ダッシュボードを充実させて作品管理できるようにする、といったイメージです。

できれば、イラスト・マンガ・小説という垣根も取っ払いたいところなので、スクロールを続けるとそれが出てくる、という感じにしたいです。

広告は、縦長のはおすすめ作品の一部の領域に、横長のは空いている空行に入れるイメージです。

もしこういったサイトを私が今から作るとしたら、どういったシステム構成にするのでしょうか。だいぶ迷います。そんなに動的に動かすサイトでもないので最新鋭の構成にしなくても良いような気もします。

プロトタイプはHTMLとCSSのみで構成し、テスト段階のものはVPS+PHP+オブジェクトストレージが慣れていて作りやすそうです。最終段階にはもう少しモダンな構成にしてもよいかもしれません。個人的にはNode.js+Vue.jsが気になっています。

ご意見募集中です…!

デザインを考えていたら楽しくなってきたので、さらによくするアイデアがあればぜひコメント欄に書いていただけると嬉しいです。

これは簡単なデザインですが、もっと本格的に作り込んで欲しいとか、実際にサイトが動作するところを見てみたいといった要望もあれば、コメントいただけると嬉しいです。ウェブサイトに関する理解を深める機会になるかもしれません。

ぜひお気軽に書き込んでください。

私個人の感想:現行のUIに肯定的

手を動かして、簡単にですがデザインを考えてみて、やっぱりすごいなと感じました。不満を感じたとしても、やはり私にはそれを上回るものは作れそうにありません。実のところウェブサービスが不具合なく動作しているだけですごいことなのです。

前回の記事では私個人の意見は書いていませんでした。私は現行のデザインに肯定的です。もっと攻めてもいいとさえ感じています。

また、ダッシュボードがわかりづらいという点については、ダッシュボードがより充実すれば不満も解消されるように思います。不満が多い機能ですが、より進化させて、作品管理やアクセス解析などもカバーできるようになってほしいです。

ハンバーガーメニューが使いにくいという件については、実際にハンバーガーメニューに収納されている項目が、あまりアクセス頻度の高いものではない、ということに気付きました。そうであれば収納されているほうがすっきりしていてみやすいと思います。

関連サービスや利用規約等は、ついサイトの一番下を探してしまいがちなので、サイト上部に関連サービスや利用規約があるのは迷子になりがちかな、と感じました。

みんなの新着が一番下にある件については、かなりの数の新着作品をチェックしている身としては、仕方がないのかなとも思います。例えば、きちんと年齢指定を入れていない作品や、二次創作なのにオリジナルとして公開するようなケースが相当数あるのが現状です。無条件で新着をトップに表示させるのはリスクが伴うのでしょう。しかしやはり一番下、というのは抵抗を感じるので、もう少し上、せめてファーストビューに入るか入らないか程度のところに出て欲しいと感じます。

とはいえ新規参入者が入りにくい点については、少し戦略を変えるだけで閲覧数が伸びやすくなる方法があるので、その点についてはいずれ記事にしたいと思います。

まとめ

稚拙ではありますがサイトの案も考えて、デザインに落とし込むことで、ようやく前回の記事を書いたことに対する、最低限の礼儀を示せたのかな、そうだったらいいなと思っています。

これからも『実際に自分もやってみる』ということを、そして『敬意を持って意見を述べる』、ということを続けていきたいです。

私はクリエイターの皆さんに敬意を抱いています。それでは引き続き、良い創作活動をお送りください。