Skip to content

PIXIV DEV MEETUPに招待されたので予習をする

2021年5月にPIXIV DEV MEETUPが開催されます。これはピクシブによる開発者向けのオンラインカンファレンスです。このイベントは完全招待制です。

たいへんありがたいことに私も初めて招待していただきました。私は絵描きですので、最初はイラストレーター向けのイベントなのかと思っていました。

私の主な活動内容が絵描きなので、ある程度は話についていけるように、しっかりと予習しておこうと思います。

前提となる知識

Pixivは元々、個人が開発したイラスト投稿サービスが基盤となって発展したWebサービスです。そのため今回のイベントではWeb開発の知識がまず必要になってくるでしょう。

Web開発というと難しそうに聞こえますが、多くの絵描きたちもそれこそPixivやその他のSNSが登場する前は、個人的にウェブサイトを構築していました。

Web開発はサーバーサイドとクライアントサイドの2種類に大別されます。前者は主にデータのやり取りや管理を、後者は閲覧者が実際に見るページの設計と制作を行います。

キーノートの予想

キーノート、つまりイベント全体の基調となる講演のテーマは『新しい時代の創作の可能性』です。内容についてはほとんど知らされていないので、ここでは私なりの予想を書きます。

まずどういった意味で新しい時代なのかについてですが、これは技術の進歩と世界情勢が関係していると予想します。

ここ10年で技術は驚くほどの速さで進歩しました。これほどスマホやタブレットが一般層に普及するとは多くの人は思っていなかったでしょう。今や幼い子供からお年寄りの方まで、いわば最先端のデバイスに触る時代です。

それに伴ってクリエイターを取り巻く創作環境も変わりました。私もそうですが、タブレットPCを持ち歩いてどこでも創作できるようになりました。VR技術が発展したので、3D空間上で創作できるようにさえなりました。

もうひとつの世界情勢について言えば、感染症の蔓延によって人々の生活が変わりました。それはクリエイターも同様です。

状況によっては直接会うことができなくなったため、これまで以上にオンライン上で多くのことを行うようになりました。

日本のクリエイターにとっての大事な幾つかのイベントも中止になっているため、創作する人々を活気づける何かがこれからますます必要となっていくでしょう。

その可能性がポジティブな発展の先に、あるいは世界情勢のために仕方なく変化せざるを得ないとしても、全てのクリエイターは新しい可能性に常に注目しています。

メインセッションの予習

イベントでは15のセッション、つまり講話が予定されているようです。Pixivは様々なプロダクトを展開しているので、幅広い話題を期待できます。

それぞれの話の前提知識となりそうなところを、一つずつ整理していきたいと思います。念のため、それぞれの正式なタイトルは伏せておきます。

VRoid Hubについて

VRoid Hub(https://hub.vroid.com)についての話があるようです。VRoid HubはPixivが開発したVRoid Studioで作った3Dデータを共有できるWebサービスです。

3Dデータはテキストやイラストと比べると複雑な構造になっています。3次元のXYZ位置に関する頂点のデータやテクスチャをどのように貼り付けるかなどのデータが含まれています。

これを共有するサービスを運用するのに、3Dデータを上手に取り扱うことや、負荷を少なく閲覧できるようにする工夫が必要なことが想像できます。

この話から複雑なデータをウェブで取り扱うときの実際に行えることを開発者たちの実体験から学べると思います。

オンライン即売会について

PixivはBOOTHというオンラインマーケットを運営しています。マーケットである以上お金のやり取りが生じますが、それが円滑に行われるためには幾つかの課題を乗り越えなけらばなりません。

オンライン決済を使っている人は知っているように、決済は手軽ですが一瞬で行われるわけではありません。それはWebサービスと金融機関との間で多くの処理が行われることを意味しています。

BOOTHは人気のあるアーティストや企業が利用していることもあり、短時間の間に多くの決済処理が求められることが想像できます。

個人開発者が決済処理までを扱う経験は少ないと思うので、このセッションで話される知見は貴重なものとなるでしょう。

ピクシブのインフラについて

Webサービスを開発しようとするときに、うれしい悲鳴とも言える課題が閲覧者が急増することです。サーバーはその負荷に耐えられるでしょうか。

Pixivはイラスト投稿が1日に数万件あります。さらに多くの閲覧があり、そして周辺サービスがそれだけでないことを考えると、インフラの整備が大変なものになると想像できます。

インフラを整える方法は大きく分けると2つあり、1つつは自前で用意する方法で、もう一つがAmazonやGoogleなどのサービスを利用する方法です。

独自にサーバーやデータセンターを構築しようとする場合、それに見合ったインフラ、つまり強固な回線や安定した設備、十分な電力を揃えなければなりません。

インフラ整備はWeb開発をしている人には大なり小なり必要な知識になってくるので、この話は興味深く楽しめることと思います。

不正ログイン対策について

とあるサービスのログイン認証が難しすぎて誰も解けないという事態が生じたことがあります。これは結局のところバグだったようですが、開発者にとって不正ログインは頭を悩ませる問題の一つです。

不正ログイン対策はウェブの発展とともに多くのものが試されてきました。

数桁のパスワードが要求されるだけだったものが、コンピュータが判別しにくい文字を答えるものになったり、画像をクリックするものになったりしています。

ほかにもログインの試行回数で制限をかけたり、2段階認証を用いたり、管理者の承認が必要になったりと、さまざまな形態のものが試されてきました。

Pixivは金銭を伴うサービスを運営しているので、不正ログイン対策は必要不可欠であり、真剣に取り組んでいるはずです。

そのなかで得た知見は、個人開発者にとって有益なものが多く含まれていることでしょう。

行列分解アルゴリズムの逐次学習化について

このセッションのテーマは難解に感じるかもしれません。ここで特に注目したいのが逐次学習化という部分です。これはアルゴリズムがその都度、調整されていくことを意味しています。

アルゴリズムが調整されていくとはどういうことなのでしょうか。基本的にプログラマーはすでに用意されているアルゴリズムを使ってプログラムを組みます。ここで提示されている行列分解のアルゴリズムも既存のものがあることでしょう。

とはいえユーザーの行動や与えられる課題に沿ってアルゴリズムを調整できればメリットを受けられます。というのも、複雑なアルゴリズムは最新のコンピューターを持ってしても処理に時間がかかるので、少しでも処理を最適化できるとユーザー体験の向上につながるからです。

個人の開発者が行列分解をすることはあまりないかもしれないですが、ゲーム開発やWebフォームの最適化などのためにこの話で扱われるアルゴリズムの逐次学習が役立つかもしれません。

データ環境について

パソコンを使っている人は誰もが一度はデータを紛失したことがあると思います。上書きしてしまったり、誤って削除してしまったり、あるいはアプリのバグだったりと理由は様々です。確かなことは、データは容易に失われてしまうということです。

そういった事態を防ぐにはデータは安全に保存されていなければなりませんし、簡単に取り出せるようにしなければなりません。それでいて間違った改変を防ぐことも必要です。

データはITの分野で非常に重要なものなので、それに関する堅牢な手法やツールがいくつも考案されてきました。開発者はそれを利用すれば良いわけなのですが、最適なものを選び、自身のプロダクトに合った運用方法を見つける工夫をしなければなりません。

Pixivがこの課題にどのように取り組んできたのか、この話で聞くことができることでしょう。そこから自分の開発に役立てる何かを見つけることができるはずです。

リクエスト機能について

Pixivにリクエスト機能が追加されました。これは報酬を設定してリクエストを受けたり、申請したりできる機能です。

注目したいのが、この機能が追加されたのがイラスト投稿サービスのPixivそのものだったことです。Pixivは個人開発だったものが時とともに改良され、巨大になっていったものです。

その内部は今となっては古いコードも含まれるので、そこに新しい機能を追加することは容易ではないことが想像できます。

開発者であれば一度は経験したことがあることに、古いコードに考えなしに手をつけて痛い目を見るということがあります。この分野はリファクタリングと呼ばれ、重要性と難しさが知られています。

この話は目標となる機能を脇道に逸れずに実装していくことに、良い啓発となることでしょう。

新しい広告について

多くのメディアの収入源となっているものが広告です。一目に触れるメディアというのはそれだけで価値があるので、例えば自社の製品を宣伝するためにお金を払って広告を掲載する、といった関係が成り立つのです。

とはいえウェブ業界では従来の広告のあり方が揺らいでいます。サービスのトラッキングの許可をユーザー自身が選べるようになると、ターゲティング広告がうまく機能しなくなります。

それに加え広告ブロッカーを導入するユーザーも増えているので、メディアは新しい広告形態を模索していかなければなりません。個人のブロガーなども同様の問題に直面しているかもしれません。

これによって影響を受けることはピクシブも例外ではなく、何らかの対策を強いられています。

この話で紹介されるピクシブの新しい広告システムは、広告収入を得ている人もそうでない人にとっても興味深いものとなるでしょう。

NEOKETについて

NEOKETとは、公式サイトによれば『バーチャル空間で行われるピクシブ主催のオールジャンル同人誌即売会イベント』です。

このサービスを展開する上で基盤となっているのがオンラインマーケットのBOOTHと、3Dモデル制作ツールのVRoidです。

これはバーチャル空間で即売会を行うという今までにない試みでした。当然ピクシブの開発者にとっても初めての挑戦です。

私たちも何度も新しい試みに挑戦します。すべてを一切のトラブルもなく円滑に進めることは不可能に近く、乗り越えるべき課題がいくつもあることでしょう。

この話はプロジェクトマネージャーによって話されます。プロジェクトをマネジメントする立場にある人にとっても、現場で開発する人にとっても有益な情報を得られることでしょう。また新しいことに挑戦する意欲も掻き立てられることでしょう。

FANBOXのリニューアルについて

クリエイターを支援する。その一括りの言葉の中に、多様な方法が存在します。応援のメッセージを送ること、作品を買うこと、宣伝することなどです。

FANBOXはクリエイターの支援をするサービスを提供しています。支援者が金銭的な支援をしてクリエイターを支えることができます。クリエイターは感謝の気持ちを記事にしたり、それに対する感想をまたもらったりして、一つのコミュニティが生まれます。

もちろん、金銭的な支援を受けられるサービスは他にも存在します。類似するサービスもあれば、クラウドファンディングのようにパトロンを募れるサービスもあります。

FANBOXはそのようなものが既に存在するなかで誕生し、改善され、成長してきました。FANBOXが根本的に他と違うところは何でしょうか。どんな工夫をしてきたのでしょうか。

私たちの場合も、ほとんどが競合が存在している中での開発になります。このセッションで話される経験は、そういった状況でうまく舵取りする助けになるでしょう。

pixivとマンガ業界について

マンガ業界は極めて競争の激しい状況となっています。読み切れないほどの漫画がアプリやWebサービスを通して供給されています。

この状況はマンガを読む側にとっては選び放題の状況と言えるかもしれませんが、サービスを作る側、コンテンツを作る側からしたら、どうやって生き残っていくのか戦略を練らなければならないでしょう。

その点でピクシブはコミックスを出版しており、それらを取り扱うサービスがあり、それを閲覧する専用のアプリがあり、またマンガ作品を投稿する場も作っています。まさに競争の渦中です。

このセクションでの話は、競争率の高いサービスを作っている開発者にとって参考になるはずです。またマンガ作品を描いているクリエイターにとっても興味深いものとなるでしょう。

pixivSketchの新ドロー機能について

ウェブやアプリの開発で重要なのが、ユーザー体験を向上させることです。調べ物がすぐに見つかったとか、気持ちよく買い物ができたという風に、より良いユーザー体験は満足につながります。

pixivSketchはイラストを通してコミュニケーションをするイラスト投稿SNSの一つですが、イラストを描くためのドロー機能を実装していることでユーザー体験をさらに向上させています。

その一新されたドロー機能は利用者、つまり絵描きたちのとって心地よいものでなければなりません。それをどのように作り上げていったのでしょうか。

多くの開発者はよりよいユーザー体験のために工夫が必要となる場面に遭遇します。例えばお問い合わせフォームはサービスの主要な機能ではないかもしれませんが、その使い勝手を良くすることで利用者の満足度を上げることができます。

このセッションの話から、ユーザー体験の向上について役に立つことを学べるでしょう。また絵描きの方にとっては、pixivSketchの提供する体験を理解することで、創作活動に役立てる方法を見つけることができるでしょう。

ブランディングページについて

ウェブ制作者は自分の作っているものが多かれ少なかれ、ブランディングの役割を担っていることを理解しています。ブランディングとはブランドを形作るための行動を指しますが、ブランドとは本来形のないものです。

形のないものですが、ブランドとは確かに存在していて、商品やサービスに対する信頼を増し加えます。例えば企業に特定の色があるわけではありませんが、ピクシブは何色かと問われたら、多くの人が水色、と答えるでしょう。これもブランドのイメージの一例です。

ブランディングページ、あるいはサイトはブランディングに特化したWebページのことを指します。ピクシブはこれまで多くのプロダクトを手がけており、それに伴ってブランディングページも制作してきました。

私たちも自分の作っているアプリやサービスを的確に伝え、行動してもらうためにいわばブランディングページを作ることがあるります。どのような工夫ができるでしょうか。このセッションで話される経験から学べるはずです。

pixivと小説体験について

すべての開発者が新しい技術に興味があるわけではありません。より良くすることよりも、妥協して現状を維持することを望む人もいることでしょう。改善したほうがいいとわかっていても、そうなってしまう場合があります。

ピクシブはイラスト投稿サイトとしてスタートしましたが、小説を投稿する機能もあります。とはいえ多くの人にとってピクシブにあまり小説のイメージはあまりありません。

ピクシブの小説はイラストとは若干異なったコミュニティが形成されています。一時期はユーザー間で一種のグループのようなものが形成され、場合によっては閉鎖的な空気さえありました。

嬉しいことに最近はそれに変化が生じています。ピクシブの小説チームが率先して企画を主導して創作を促したり、埋もれがちなオリジナル作品をピックアップしたりしています。

チームが程よく新しい空気を吹き込んだ結果、投稿数が増えただけでなくコミュニティの雰囲気がより良いものに変わっているように感じます。

私たちも一筋縄ではいかない、停滞しているような環境で開発をしなければならないかもしれません。そんな時に、この話はきっと励みになるでしょう。

pixivのUIデザインについて

ウェブデザインで重要視されるのが一貫性です。何よりウェブ全体から見て操作感が一貫しており、あまりにも奇抜なところがないことが良いとされます。そしてどのページでも同じように操作できるようにするならば、ユーザーは目的を無事に達成することが容易になります。

ピクシブは多くのウェブサイトを作っています。書籍を作り、商品を作り、アプリを作っています。それらのデザインが統一されるには一貫したデザインのためのシステムが必要です。

私たちもスタイルガイドを設計したり、適切なUI設計ツールを用いて一貫したデザインになるように工夫しています。今そのようなことに取り組んでいる方にとって、このセッションは有意義なひとときとなるでしょう。

ほかの参加者とのこと

すでにPIXIV DEV MEETUPは開発者たちに招待をされているようで招待された人、あるいは招待されたい人はハッシュタグ『 #pixivdevmeetup 』でつぶやいています。

私は現在活躍している開発車たちがどんな理由でウェブやアプリを開発しているのか、どんな技術に興味があるのかなど、可能なら意見を聞いてみたいと思っています。

とはいえ私は絵描きに過ぎないので、開発者の皆さんの言葉が何一つ分からず、オンラインぼっちになってしまう可能性も否めません。

おそらく開発者の皆さんは、旺盛な知的好奇心を抱いて参加します。私は絵描きですが、開発者のみなさんを見習って、好奇心旺盛に挑もうと思っています。

まとめ

この記事ではPIXIV DEV MEETUPについて予習したことをまとめました。

新しいものに触れることが大好きなので、ピクシブの皆さんがどんな取り組みをしているのか知るのがとても楽しみです。

また開発者の皆さんとの接点は今までなかったので、開発者の考えに直に触れることができることを楽しみにしています。

それでは良い創作を。