心が繊細な絵描きの生き残り戦術
心が繊細な絵描きさんは少なくありません。絵を描くことをいわば避難所にしている方もいることでしょう。この記事ではそんな絵描きさんが直面する問題と対策について考察します。
絵描きたちの直面する問題
今はとても絵描きが多い時代です。インターネットやSNSの普及により、個人でも自由に絵を発信できるようになりました。
有名な絵描きは何十万というフォロワーを抱えており、大きな影響力を持っています。そんな絵描きに憧れて、絵を始める方もたくさんいます。
小さな子供がクレヨンを握りしめ、夢中で絵を描くように、絵を描くことは本来とても楽しいことです。
でも、絵描きとして活動していくにつれて、色々な問題に直面します。一つずつ調べていきましょう。
誰も見てくれない
絵を描き始めた人が最初に直面するのが、恐らくこの問題でしょう。絵をネットにアップしても、誰も見てくれないし、ましてや誰も評価してくれないのです。
時間をかけて一生懸命に描いた絵なのに、誰からも評価されないのはつらいものです。それに絵の描き始めは褒められることが原動力になることが少なくありません。
誰も見てくれないと、やる気をなくしてしまい、絵を描くのをやめてしまうかもしれません。どうすれば人に見てもらえるでしょうか。
ヒントは『他の絵描きも見てもらいたいと思っている』というところにあります。みんなも同じ絵描きなのです。
絵描きたち、特に絵を始めたばかりの方のイラストをよく見るようにして、感想などを送ってあげましょう。そこから小さな繋がりが生まれ、自分の絵も見てもらえるようになります。
誰も見てくれないときは、自分から他の人の絵を見るようにしましょう。
自信がなくて絵を消してしまう
自信がない絵描きは少なくありません。自分の絵について誰よりも知っていますから、よくない点が気になってアップした絵を消してしまいます。
不特定多数に見られることが嫌になって消してしまうこともあります。それは仕方のないことです。ネットには色々な人がいますから、そのような気持ちはむしろ健全です。
自信がないときは、しばらくは公開設定を狭めるのが良いかもしれません。使用するサービスによりますが、例えばフォロワーにしか見えないように設定したり、知り合いにしか見えないように設定します。
LINEやメールなど個人的に仲の良い方に見せるのも良いでしょう。
一番良いのは信頼できる家族や友達や知り合いに見せることです。きっと絵の良いところを褒めて、自信をつけてくれるでしょう。
絵を消すことは何も悪いことではありません。無理して公開を続けるよりも、できる範囲で活動するのが大切です。
うまく描けなくてつらい
うまく描けないというのは絵を描く人なら誰もが直面する問題です。毎日のように感じるといっても過言ではないかもしれません。
その原因の一つがスランプかもしれません。スランプについては絵のスランプについて知って欲しいことという記事で詳しく書いたのでよければご一読ください。スランプから脱出するためにいくらか役に立つかもしれません。
またスランプではないにしても、どうにもうまく描けない、言い換えると自分が理想としている絵が描けないことに悩んでしまうことがあります。
描き終わったあとや描いている最中に『何か思っているのと違う』ということに気づいてしまい、その絵に対する熱が冷めてしまいます。
うまく描けない、思ったように描けないと感じるのは良い兆候です。上達のための問題点をいわば直感的に察知しているからです。
ですから、余力があるときは『どうしてうまく描けないのだろうか』『どうすれば良くなるだろうか』と理性的に判断して、改善を図る良い機会になります。
とはいえ、うまく描けないことを気にしすぎると、それがどんどん嫌になり、負のスパイラルに陥ってしまうかもしれません。
この問題に対する解決策はいくつかあるのですが、一見すると正反対の2つの面白いアプローチを紹介します。
1つ目は、絵を描き始めた頃の自分の絵を見ることです。
小学生の頃でも、幼稚園の頃でもかまいません。その頃の絵と比べて今の絵はどうでしょうか。上達しているはずです。
上達していることを自覚すると、『うまく描けない』ではなく『あの頃よりはずっとうまく描けている』と思えるようになり、問題に対処しやすくなります。
2つ目は、絵の偉大な巨匠たちの絵を見ることです。
レオナルド・ダヴィンチでもミケランジェロでもピカソでもゴッホでも構いません。途方もない修練と才能がそこにはあります。
星空や大海原を目にすると自分の問題がちっぽけに見えるようになります。同じように絵の巨匠たちの絵を見ると、自分が『うまく描けない』と思っていることが小さな問題に思えてきます。
うまく描けなくてつらいときは確かにありますが、上手に気持ちを切り替えて乗り越えたいものですね。
絵を描くのが楽しくない
「お絵かきが楽しい」という意見が話題になる一方で「お絵かきが楽しくない」という意見も耳にします。
絵を描くこと自体が楽しいという人もいれば、完成した絵を見ることが楽しみだという人、自分の書いた絵で誰かが喜んでくれることを望む人と、人はそれぞれです。
純粋な芸術でない限り、お絵かきに『作業』はつきものです。線画を丁寧に清書したり、ネットで公開するために色やサイズを調整したりなどです。
そして単調な作業は退屈なものです。単調な作業を楽しめる人は稀です。ですから、本来お絵かきは楽しいものですが「お絵かきが楽しくない」という意見も決して間違ったものではありません。
お絵かきが楽しくないときはどうすればよいでしょうか。
おしゃべりしながら描くのが楽しいという方がいます。誰かと一緒にトークを楽しみつつ、お絵かきしてみるのはいかがでしょうか。
大好きな音楽を聴くとスイッチが入るという方もいます。自分に合った音楽を探してみるのはいかがでしょうか。
それでも楽しくないときは一旦、絵を描くことを中断して、思い切りリフレッシュするのも大事です。自然の美しさや動物の可愛らしさなどを見て創作意欲が掻き立てられ、また描きたいと思うようになるかもしれません。
お絵かきが楽しくないと感じるのは普通のことなので、上手に気持ちをコントロールしてつまらなさを緩和していきましょう。
年下がうますぎてつらい
こんな状況に置かれたどう感じるでしょうか。
いつも自分とつるんで馬鹿なことをしていた友達が、実は頭が良くてテストの点数がすごく良かったことに気づいてしまったとき。
同い年の同僚がいつのまにか自分の上司になってしまい給料もよくて評判も良いことを知ってしまったとき。
悔しいと感じるのではないでしょうか。
自分に近しいと思っていた人が実はそうではなかったと感じると、悔しかったり寂しかったり、とにかくつらく感じるものです。
絵も同じです。同級生やネットの友達、また同い年や年下の絵描きが自分よりずっと絵が上手なことを知ると悔しい気持ちになることがあります。
こういう時どうすれば、気持ちを切り替えることができるでしょうか。
実際にはそれほど差がないことに気づくことは大切です。1歳と2歳では生きた年数は倍違いますが、101歳と102歳では比率に大差はありません。
それと同じように、今は自分よりずっと上手に感じているその人も、時経つうちにそんなに差は大きくなかったことを後になってから気づくものです。
ですから、焦らないようにしましょう。
そして何よりも、人と比べないようにするのは大切です。人と比べてその優劣に喜んだり落胆したりするのではなく、自分自身の成長を見て喜ぶようにしましょう。
年下の絵描きさんがうますぎてつらいときは、焦ることなく冷静になり、人と比べないようにしましょう。
無断転載がつらい
絵描きを特に痛めつけるもの、それは無断転載です。自分が一生懸命に描いたものが、勝手に使われてしまっては本当につらい気持ちになります。
自分が傷つくだけなら、まだ良いとしましょう。しかし無断転載は自分だけでなく自分の絵を好きでいてくれるファンの方の心もかき乱し、関係のない方たちも巻き込んで勘違いをさせてしまいます。
そうかと言って無断転載をやめさせようと断固たる行動を取るほどの勇気は持ち合わせていませんし、それで炎上でもしたら元も子もありません。
ここまで来てしまうと、もう絵を公開するのをやめたくなってしまいますよね。では無断転載は、どのように対処すればよいのでしょうか。
完璧な解決策はありませんが、無断転載は基本的に無視するのが得策です。
しかし、問題なのはそれだけではなく、傷つく気持ちのほうも大事です。
無断転載で傷ついた気持ちをどうすれば癒せるでしょうか。どうすれば傷つくのを軽減できるでしょうか。
無断転載は宣伝と思い込むほかないでしょう。そう彼らは宣伝をしているのです。
しかし、中には自作発言をする人もいます。
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無断転載はつらいです。例えばそれが有償のイラストだったらどうでしょう。もうダメです。
いっそイラストを創作の活性化のために転載や改変を許可するライセンスにしてしまった方が気が楽になるのかもしれませんね。
クリエイティブ・コモンズを検討するのも良いかもしれません。絵描きにはまだまだ浸透していませんが、『著作者名を記載し、改変せず、非商用ですれば転載しても良し(CC BY-NC-SA 4.0)』とするイラストレーターも現れています。
無断転載の話はこれくらいにしましょう・・・(涙)
辛辣なコメントがつらい
絵をアップするなら3つのタイプの人に遭遇することでしょう。絵を好きになってくれる人、絵に無関心な人、絵を嫌う人。
ファンが増えればアンチユーザーも増えます。そういうわけで、ある程度のアンチユーザーがいることはその絵描きが人気な証でもあります。
とはいえ、辛辣なコメントがくれば当然傷つきます。
どう対処すればよいでしょうか。
アンチユーザーは安置、いえ放置するのがよいでしょう。好きに言わせておけば良いのです。荒らしは嵐と考えて、過ぎ去るのを待ちましょう。
そのコメントがどんなものであれ、こちらの行動が誠実なものであれば事実は次第に明らかになります。行動によって実証されるのです。
傷ついた心はどうすればよいでしょうか。
3つの選択肢を用意してみました。
1つ目は、その悔しさをバネにすることです。いつか見返してやると思って、言い返すことなどせずに、創作を続けるのです。
2つ目は、許すことです。その人は学校や職場で嫌なことがあったばかりなのかもしれず、ふとアンチコメを書いてしまっただけかもしれません。洞察力は人を許すように促します。
3つ目は、高い視点を持つことです。1000年以上も生きる木々、40億年も生きてきた地球と比べて、たった80年ぽっちの人の言葉などなんとささやきなのでしょう。それは海に投じられる小石のように、海全体に対して何の影響も与えません。
ぜひ私も海のように広い心を持って・・・
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やっぱり辛辣なコメントはつらいよおおおお!
フォロワーが減るのがつらい
フォロワーが減るのがつらいというのもよく見聞きします。フォロワーが減ると色々とネガティブな想像をしてしまうものです。
絵が好きでフォローしてくれたんじゃなかったのかな。フォロバ目当てだったのかな。何かの発言が気に障ったのかな。自分の絵が嫌だったのかな。
元フォロワーさんはただそのサービスを退会しただけかもしれませんし、間違ってフォローを外しただけかもしれません。
ですから、本当の動機を知らないということを念頭に置いておくと良いかもしれません。
でも・・・
やっぱりフォロワーが減るのはつらいです。
というのも、人は得たものよりも失ったものの方が大きく感じるからです。
例えば、親に「1000円あげる」と言われてお金をもらったとしましょう。その後、親の気が変わって「1000円返して」と言われてお金を返したとしましょう。
もらったお金をそのまま返しただけなので、損失は全くないはずなのですが、なんだか損した気がしませんか。
このように人は得たものよりも失ったものの方が大きく感じる性質があるようです。もっと詳しく知りたい方は社会学のプロスペト理論について調べてみてください。
どんなにフォロワーが増えようとも、フォロワーが減るのを見るとつらく感じるものです。どう対処できるでしょうか。
フォロワー数を見ないようにするのが最善です。
また、そのサービスを使い始めたときはフォロワー数が0だったことを忘れないようにしましょう。増減はあってもフォロワーは確実に増えているのです。
お金が振り込まれない・・・
商業的に絵描きの活動をしている人は、別な問題に直面することがあります。金銭が絡んだ問題です。
報酬が異様に安いとか、商業作家なのに無償で描いてほしいと頼まれるとか色々ありますが、問題の最たる例は依頼を達成したのにお金が振り込まれないことでしょう。
つまり詐欺です。
この問題の難しいところは、依頼人に悪意がない場合もあるということです。例えば依頼人になんらかのトラブルが発生して、お金を払えなくなってしまったとか、手違いが発生してお金が別の人に渡ってしまった場合などです。
金銭が絡んだ問題はややこしく、今まで仲良く活動してきた人でさえ金銭のトラブルが発生すると、関係が損なわれてしまう可能性があります。
どう対処できるでしょうか。
経理部などがある信頼できる会社のみに依頼を限れば、いくぶん安心して活動することができます。とはいえ、新人の商業絵描きにとってクライアントを選ぶことは難しいことです。
依頼人に前払いにしてもらえるなら、そうするのが望ましい場合もあるでしょう。あるいは前金をいただくなど、双方の合意のもとでできるだけ取引が失敗しないように工夫できるかもしれません。
Skebというサービスは役に立つかもしれません。まだBETA版なので正式にリリースされているわけではありませんが、活用しているイラストレーターさんは少なくありません。
金銭のように働きが数値化されると、人は往往にして打算的になって損得の気持ちが働いてしまいます。その気持ちのバランスを取るのはとても難しいことです。
いつの時代も金銭のトラブルは絶えません。
ありきたりなアドバイスしかできませんが、金銭的なやりとりは十分に注意して行ないましょう。
巧妙で有害なアドバイスにご注意を
絵描きを最も苦しめるものが『巧妙で有害なアドバイス』です。これはどういうことでしょうか。
例えば、明らかな非難や嫌がらせならば、それを見分けて退けることができます。
しかし一見すると親切な『巧妙なアドバイス』は退けることが非常に困難です。
この手のアドバイスは、最初は『ここはこうした方がいい』などと親切にアドバイスをしてきます。しかし、どんどんエスカレートしていって、最終的には人格否定をするなどして誹謗中傷にまで発展することさえあります。
これは極めて悪質なものであり、絵描きの心に大きな傷を負わせます。
そして、この問題の厄介な点は、親切なアドバイスと有害なアドバイスの見分けがつかないことです。
どうすればよいのでしょうか。
多くの場合、絵描きに必要なのはアドバイスではなく『励まし』や『褒め言葉』であることを思いに留めておきましょう。
アドバイスは信頼できる人から、例えば美術の先生やイラスト講座の講師、顔見知りで信頼できる絵描きさんなどからで十分です。
本当に絵が描ける人は絵を描く大変さを知っているので、そう軽々とアドバイスを口にしないものです。ですから、絵描きでない方からのアドバイスは参考程度に聞いておくのが無難でしょう。
何よりネットでの交友に一線を引くことはとても大切です。ネットは非常に身近になりなりましたが、それでも気をつけるべきところは何も変わっていません。
巧妙で有害なアドバイスには特に注意しましょう。
アカウントが凍結してつらい
アカウントが凍結すると、とてもつらい思いをします。凍結とは、サービスによって異なるかもしれませんが、そのサービスを一時的に使えなくなることです。
場合によっては、アカウントが削除されることもあります。これは基本的には規約違反した人への措置なのですが、何も悪いことをしていないのに、こうなってしまう可能性もあります。
自分のアカウントが使えなくなると、新しくアカウントを作って1から始めるか、別のサービスに移行する必要があり、精神面でも創作活動の面でも痛手になります。どのように対処できるでしょうか。
3つほど対応策を考えてみました。
1つ目は、最初から複数のアカウントを取得しておくという方法です。一つのサービスにこだわる必要はありません。活動場所をいくつか持つことによって、リスクを分散させることができます。
2つ目は、自分のウェブサイトを持つことです。自分専用のウェブサイトなら自由に使えますし、機能を限定すれば精神的な負担を減らすこともできます。他のサービスが使用停止になっても、ウェブサイトがあるという安心感を得ることができます。
3つ目は、日記を書くことです。言い方を変えると、ネットを使わない活動もしておくということです。といっても、いきなりグッズを販売したり即売会に出たりする必要はありません。いつもの日記に絵を添えるなど簡単なことで構いません。
どんなウェブサービスもいつかは終了します。
活動拠点を増やしすぎて疲弊しないように注意しつつ、1つのサービスに依存しすぎないようにしましょう。
誹謗中傷がつらい
百歩譲って作品に対する非難は良いとしましょう。それぞれ発言の自由がありますし、作品に対する感じ方も人それぞれです。
しかし誹謗中傷はしてはいけないことです。それでも、絵を描き続けるならば、不運にも遭遇してしまう場合があります。
もし、そうなったら、どう対処したらよいでしょうか。
・ ・ ・ ・ ・ ・
誹謗中傷は勘弁してえええええええ(涙)
人格否定とか差別発言とか晒し上げなど、ただの絵描きが対応できる範疇を超えています。
私では無理です。
パンチのある言葉が必要です。
ワンパンマンの原作者である漫画家のONE先生が描いた『モブサイコ100』の6巻から、引用させていただきます。
” 嫌な時はなぁ! 逃げたっていいんだよ! ”
身体的な病気で描けなくなってしまったら
生きていると予想もしていなかったことが起こるものです。それは誰にでも起こり得ます。そのうちどうしても避けられないのが、病気になることです。
軽い風邪のような症状の軽いものだったら深刻にはならないのですが、時には絵が描けなくなるほどの病気になることがあります。身体的な病気、心の病気どちらもあり得ます。
例えば、腰痛というよくある症状でも、描けなくなることがあります。腰は体を支える大事な部位なので、腰が痛むと何をするのも大変になってしまうからです。
まして骨折や関節痛や神経痛や頚椎損傷、ALS障害や筋ジストロフィーなどの難病、様々な疾患が絵を描けなくします。どう対処できるでしょうか。
まだ動かせる部位や痛みの具合、そして医療上の注意によってことなります。お医者さんの指示には従いましょう。その上でできることを探していきます。
詩人であり画家でもある星野富弘さんは口に筆をくわえて文や絵を書いています。障害があっても、舌を使って上手に本を読む方もいれば、足でギターを弾く方もおられます。
手足の自由がなくても、顔の動きでコンピュータを操作できるSmartNavや、目の動きだけで操作ができるTobii Eye Trackerといったデバイスもあります。
健康な人と同じ方法で描く必要はありません。足指で描いてもいいし、口で描いてもいいのです。processingなどのプログラミング言語を使って、プログラムで絵を描くこともできます。
状況を受け入れて、自分にできることを探すのは本当に大変なことですが、どうか諦めないでください。
精神的な病気で描けなくなってしまったら
うつ病やパニック障害や、PTSDといった不安障害などの精神的な病気は珍しいものではありません。アスペルガー症候群や自閉症などの自閉症スペクトラム(発達障害)も広く認知されつつあります。
うつ病などは誰にでもなり得ます。どんなに屈強な人でもそうです。ですから、そのことで引け目を感じる必要はありません。また自閉症スペクトラムは一昔前、まことしやかに言われていたように『親の教育のせい』ではありません。自分を責めなくていいのです。
ゆっくり休養をするのはとても大切です。よく食べて、適度に運動し、よく寝るのです。精神は自分が想像している以上に消耗していることがあります。あまりに頑張りすぎると今度は『燃え尽き』になってしまうかもしれません。
適切な治療を受けましょう。自分の判断に頼るのではなく、お医者さんに相談しましょう。相性の合わないお医者さんは確かにいるかもしれませんが、お医者さんも医療スタッフもプロです。お医者さんを信頼して、薬を指示通りに服用し、しっかりと療養しましょう。
つらい気持ちは信頼できる家族や友人に話しましょう。話すだけでもだいぶ楽になります。電話をするのも良いかもしれません。一人で抱え込まず、誰かを頼りましょう。
もし「死にたい」と何度も強く思ってしまい、その衝動が抑えられないのであれば、それは緊急事態です。どうか、私が以前に書いた生きるための処方箋という記事をご覧になり、一刻も早く行動を起こしてください。
基本的に描くこと、それ自体は精神を安定させます。どんな愚痴でも吐き出せる秘密の日記帳のように、誰にも見せることのない絵を描いてみましょう。書きなぐりでも構いません。もちろん描けないときは、無理して描く必要はありません。
精神的な病気に関する記事は、本にもネット上にも多くありますが、一番大切なのは専門家に診てもらうことです。繰り返します。病院に行って適切な治療を受けましょう。それは恥ずかしいことではありません。それが最初の一歩です。
大きな事件があって描けなくなってしまったら
良い意味でも、悪い意味でも、十数年前には考えられなかったことが次々と起こる時代です。大規模な事件、事故、自然災害が起きています。それは繊細な絵描きの心に大きな影響を及ぼし、絵を描けなくしてしまうことがあります。
とある世界的な画家も、2001年9月11日のアメリカ同時多発事故事件のショックで一時的に絵が描けなくなってしまったそうです。また2011年3月11日に起きた東日本大震災はあまりにも大きな影響を与え、多くのアーティストは歌うこと、描くこと、創ることが困難になりました。
あまりに大きな出来事があると時間が止まったように感じることがあるかもしれません。自分の中の心の時計の針が、その日その時刻で止まってしまうのです。当事者であれば、数ヶ月経っても、あるいは数年経っても消えません。
悲しみを十分に分かち合ったあとは、心が新しいことに向くように行動しましょう。その出来事を話題にしない人と一緒にいることは助けになります。
つらい時こそ、誰かのために助けになろうとすると、満足感が得られ精神が安定します。誰かの助けになる行動をしてみるのはいかがでしょうか。誰かを慰める手紙を書いたり電話をしたりできるかもしれません。
SNSやニュースがストレスの原因になってしまうことがあります。大きな災害が起こるとその報道が毎日のように流れ、気が滅入ってしまうのです。正確な情報を知ることは大切ですが、過剰に情報を取り入れ続けるのはやめ、ストレスになる原因を遮断しましょう。
時間だけが解決してくれる問題もあります。しかし、回復を早めたり、つらさを緩和することは可能です。将来を悲観して絶望するのではなく、今の自分にできること・できていることに目を向け、積極的に活動しましょう。
ゲームして動画を見て遊んで寝よう
絵描きにとっては絵を描くことは食事をするようなものです。
絵を描いてストレスを発散し、絵を描いて心を落ち着け、絵を描いて生計を立て、絵を描いて楽しむのです。
でも、絵描きだってたまには絵を描くのに疲れます。
この記事で紹介したような様々な問題に直面して頭を抱えることがあるからです。
そして、この記事では対策についても考察してきました。
問題はたくさんありますが前もって備えをしておくなら、上手に対応することができます。
とはいえ、一番効果のあるのは、これかもしれません。
遊んで、食べて、たっぷり寝ることです。
今風に言えばこんな感じでしょうか。
ゲームして動画を見て遊んで寝ましょう!
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この記事を書いていたら、色んなことを思い出して泣きそうでした。
記事は以上です。
ではまた!