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クリエイターの困りごと

先日とある開発者さまから、開発中のクリエイター向けサービスを改善するために『クリエイターの方がどういうことにお困りなのか、どういうツールがあるとより良い活動ができそうか、お聞きしたい』とのメッセージをいただきました。

時々聞かれることなので、改めて私自身の経験や過去の事例を調べ直し、クリエイターが本当に困っていることを記事にすることにしました。

この記事はクリエイターが困っていることを列挙してまとめることが目的なので、必ずしも解決策を記載しているわけではないことをご了承ください。

リアルイベントが軒並み中止されていること

これは最近よく聞く同人作家の悩み事です。コロナ渦でコミックマーケットなどのリアルイベントが中止になったため、そこで新刊を頒布することを原動力にしていたクリエイターたちの中には新作が描けなくなってしまった方もいます。

これに対するアンサーの例はNEOKETのようなオンラインで開催される同人誌即売会です。現在の状況下ではこのような形で妥協するしかないですが、それでもオンラインでは気合が入らない、新刊が作れないという声を聞きます。

金銭的なトラブルに遭遇する

クリエイターが遭遇するトラブルのうち、かなり深刻なのが納品後に料金を支払っていただけないというものです。私も経験したことがあり、相当なダメージを受けました。

これに対するアンサーの例はSkebやpixiv.netのリクエスト機能です。数%の手数料で企業が担保してくれるので、クリエイター側のリスクが軽減されます。これらはよく機能していています。

無断転載・自作発言を止められない

無断転載で傷つくクリエイターは少なくありません。活動を長く続けていくなら、一度は経験すると言っても過言ではないでしょう。

この問題が消えない理由の一つが、デジタルコンテンツは無制限に複製が可能な上、本物と偽物を判別できる仕組みがないことです。

これに対するアンサーになるかもしれない事例が、デジタル資産NFTです。これはブロックチェーンによって署名が唯一無二が保証されます。

この仕組みは新しいので今のところNFTを使った日本のクリエイター向けのサービスはまだ見当たりません。

承認欲求と評価されることに対する不安

クリエイターは作品を多くの人に見てもらいたいと思う反面、繊細であるため評価されることに不安を覚えます。たとえポジティブな評価であっても、数値を見るのを嫌う人は少なくありません。

これに対するアンサーの例が、ポイピクやかべうちです。これらのサービスの特徴はコメント機能がないことやいいねを数で表さないことです。気負いなく投稿できるため、一定のクリエイターの必要を満たしています。

なかなか上達しないことに対する不満

創作の上達はとても時間がかかり、もどかしく感じます。練習を続けるのも大変です。上達していないように感じると、描くのが嫌に思えてくるかもしれません。

これに対するアンサーの例は、Youtubeで公開されているお絵かき講座やパルミー、ピクシブのsenseiなどです。また私個人としては、他人と比べず、自分の成長だけを見るように勧めています。

日本の音楽系プラットフォームが壊滅している

これはインディーズ音楽屋特有の悩みですが、日本の音楽投稿系サービスがほぼ壊滅しているので、海外サービスを利用するか、自前で動画を用意することを強いられています。

また音楽の二次創作はほぼ明示的に禁止されているので、多くの場合オリジナル楽曲を作らざるを得ません。

これらの問題に取り組もうとした例はありますが、残念ながら撤退してしまいました。

お絵かき文化が脅かされること

音楽の場合と同様に、お絵かきの文化が脅かされることがあります。例えばこれまで許容されていたある種の性的な表現が、国内あるいは海外で違法となる可能性があります。

万が一、影響力ある表現が裁判になり、不利な判例ができてしまえば、その界隈の文化が崩壊するかもしれません。

これについてのアンサーは各々のクリエイターが注意して慎重に活動していくしかありません。

何を描けばいいのか迷う

絵描きは定期的に絵を描いているため、次に何を描くかのアイデアが思いつかなくなることがあります。描きたいのに何を描けばいいのか分からないのはストレスになります。

これに対するアンサーの一例はピクシブのお題機能やゲーム形式でかけるおえかきの森、MagicalDrawのゲーム機能です。

私生活の悩み

クリエイターの悩みのほとんどは、創作とは関係のないところでの悩みです。それが創作に悪影響を及ぼすこともあります。

それに対するアンサーの一例が、SkypeやDiscordで仲間と通話しながら作業することです。気持ちを理解してもらえる人と話すと気が楽になりますし、作業も捗ります。

創作を親に禁止される

若い人の中には成績などを理由に創作活動を禁止されることがあります。パソコンやタブレットを取り上げられることもあります。

これを解決するには成績を上げるのが一番かもしれませんが、それが難しい場合は両親と巧みに話すことで大抵は許してもらえます。具体的にどうできるかなどの情報はなかなか見ないのが現状です。

スランプに陥ること

クリエイターはスランプに陥ることがあります。何の前触れもなく作れなくなることもありますし、大きな災害や病気などで創作できなくなってしまうことがあります。

スランプから脱出するための方法論はすでに多数あります。基本的にはよく休むこと、運動したり自然を見ること、ハードルを下げること、小さな行動を喜ぶことなどが挙げられます。

サービスとしてスランプ快復を支援してくれるツールは、今のところ見たことがありません。

作品を誰にも見てもらえない

新人クリエイターがSNSなどで作品を公開すると、最初のうちは誰にも見てもらえないかもしれません。まだ繋がりが少ないので当然のことなのかもしれませんが、この状況で投稿し続けるのはなかなか大変です。

これに対するアンサーの一例は先ほど紹介したポイピクやかべうちに加え、pixivSketchなど新しいクリエイターが入りやすいサービスを使うことができます。新規さんが入りやすいことは、どのサービスでも同様に求められています。

確定申告などの手続き

商業クリエイターになると、確定申告などに関わる作業を億劫に感じることがあります。

これに対するアンサーの一例がクラウド会計ソフトのfreeeです。質問に答えるだけで書類が作成できるので使っている方もいると思います。

クライアントとのやりとりでの悩み

商業クリエイターとして個人のクライアントを相手にすると、想定外の問題が発生することがあります。

前述の金銭的なトラブルのほかに、具体的な要望を聞き出す難しさ、スケジュールを立てること、各段階で確認してもらうこと、リテイク、クレーム対応などです。

これに対するアンサーの一例が、coconalaなどのスキルマーケットです。自分のスキルをサービスを使って手軽に役立てることができます。プロ向けのサービスは今のところ見つけられていません。

やっかいなアドバイス

創作をしていると、心ないコメントはもちろんですが、やっかいな望んでいないアドバイスを苦痛に感じることがあるでしょう。

これについてはさまざまな対処法が出回っていますが、基本的にスルーするのが最善です。

精神的な障害や身体的な障害

誰もが直面するかもしれない問題の一つが、精神的・身体的な障害を抱えてしまい、創作が著しく制限されてしまうことです。これは相当なストレスをクリエイターに与えます。

まず精神的な問題についてですが、ほとんどの場合専門家の助けが必要です。後ろめたく感じたり恥ずかしく思ったりする必要はありません。専門家、つまりお医者さんの助けを得ましょう。多くのクリエイターが精神的な障害を抱えながら創作活動をしています。

身体的な問題については、まずそういった状況でもできることがあることを知るようにしてください。最新の機器の多くは障害者向けの機能を提供しているので、ぜひ探してみてください。

アンサーとなりうるツールには、アイトラッキングでマウス操作ができるツールなどが販売されています。これらの問題に対するウェブサービスは今のところ見つけていません。

辛辣なコメント、誹謗中傷

SNSを利用していると辛辣なコメントや誹謗中傷に遭遇することがあります。大抵は揚げ足を取るような筋の通らない内容ですが、巧妙にクリエイターに傷を与えるようなものもあります。

これは自分のメンタルと相談になるのですが、基本的にはブロックで対処し、それでも辛ければ一時的にSNSから離れることも検討しましょう。中傷の度合いによっては、然るべき機関に相談しましょう。

これに対するアンサーの一例がマシュマロです。マイナスな表現は柔らかな表現に置き換えられるようになっており、完全に悪意を取り除けるわけではありませんが、利用している方は少なくありません。

満足のゆくお絵かきツールがない

クリエイターは創作に関してどこまでも貪欲です。たとえ今手に入れられる最高の機材やアプリを手に入れたとしても、もっともっとよくしたいと思っています。

これに対するアンサーの一例がCubebrushなどのアプリのブラシやプラグインを買えるストアです。BOOTHなどで売っている方もいます。意欲のある方であれば自分でツールを拡張していくことも可能です。

なかなか仲間ができない

クリエイターは基本的に孤独です。ウェブ上で気軽に交流できる時代になったとはいえ、なかなか気軽に話せる人を見つけることは難しいです。

同じ趣味・同じ完成を持つ人を見つけたとしても、寡黙な方が少なくないので、仲良くなるのはハードルが高いかもしれません。またコミュニケーションに自信がないという方がほとんどでしょう。

ウェブでの交流は罠もあるため、軽い気持ちでこうしたら良いというようなことは言えません。私個人としては孤独でも問題ないと思いますし、引き続き活動を続けていれば自ずと人が集まってくるとも思います。

アカウントの停止、凍結、炎上

アカウントの凍結や炎上は本当に困ってしまいます。自分に非がない場合はやるせない気持ちになるでしょう。特に昨今はTwitterがbot対策のためにいいね数やフォロー数について以前より厳しくなっているので、普通に使っていても機能が制限されることは起こり得ます。

この問題のアンサーの一例がpixivのFANBOXです。FANBOXはファンがクリエイターを支援できるサービスです。これをうまく使えば、例えばYoutubeアカウントが凍結して収入がなくなったとしても、活動を立て直すだけの資金を引き続き調達することが可能になります。

クリエイター同士の摩擦

クリエイターが映像作品やゲーム作品に携わるとき、クリエイター同士のやりとりが発生します。創作をお願いするのを難しく感じたり、互いのこだわりがぶつかってしまうことが十分にあり得ます。

これに対するアンサーの一例はピアプロのコラボ機能です。それを使えばボーカロイド関連であれば気軽にコラボ相手を募集することができます。とはいえ、クリエイター同士の摩擦回避に特化しているわけではありません。

クリエイター同士のマッチングツールやコラボレーションツールはあったと思いますが、名称を忘れてしまいました。しかし、大抵はDiscordなどの汎用的なツールに落ち着くケースが多いように感じます。

どういうツールがあったらいいか

ここまでクリエイターが困っていることについて多くの例を挙げて考えてきました。では、今クリエイターはどういったツールを必要としているのでしょうか。

クリエイターは創作のためなら貪欲になれる一方、今ある道具でやりくりする方法を身につけています。上記に挙げた不安も当たり前のものとして受け入れてしまっています。

正直なところ、クリエイター自身も何が欲しいのかわかっていません。それでも、現状を向上させる何か、不安を軽減させる何か、これまでの常識を覆す何かが登場したなら、これこそ自分が欲しかったものだと実感します。

つまり、これが欲しい

クリエイターが漠然と抱いている不安を言葉にしてきました。当たり前ですが、こういったことを日夜考えているわけではありません。

私の場合は、むしろ何も考えていないことの方が多いです。のほほんとしてタブレットをくるくる回し、ふと思い立って創作をして、投稿して満足します。

私が欲しいのは、創作をする道具、創作をするときの穏やかな時間、創作物を愛でる時に感じる満足感、宣伝を頼まれたときに困らない程度の評判、活動を続けていくための健康と活動資金です。

創作をするための、

  • 道具
  • 時間
  • 満足感
  • 評判
  • 健康
  • 資金

を支えるツールです。

まとめ

この記事ではクリエイターが本当に困っていることについて、質問に答える形で記事にしました。

この記事はひとりの開発者のために書きましたが、他の開発者のみなさま、そしてこういった悩みを持つクリエイターの方々にも役に立てていただけると嬉しいです。

それでは、良い創作を。