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タイムラプスで学ぶ、イラストの整え方

お絵かきをすると完成する頃には当初のイメージとはだいぶ異なったイラストになることが少なくありません。この記事ではイラストを描く様子を記録した30秒のタイムラプス動画から、イラストを整えるためのテクニックを調べたいと思います。

今回、使用する動画はこちらです。このイラストは最近描いたものです。三人の女の子が晴天下の赤い大地でサバイバルしています。

まず何かしらを描いてイメージを引き寄せる

開始数秒で女の子らしきラフを中央に描いています。スコップを使っているようにも見え、右側にはもう一つのスコップが描かれています。

もしなんとなく描きたいものがあっても具体的なイメージが浮かんでいない場合は、とにかく描き始めてみることをお勧めします。キャラ絵を描かれる方は、何よりもまずキャラクターをなんでもいいので描いてみましょう。構図などは気にしなくても大丈夫です。

すると大抵は描きたいイメージが、少なくとも描く前よりは鮮明になります。私の場合はスコップを持って何かをしている、なんらかの労働をしているようなイメージが頭の中にあることがわかりました。

切って貼って変形させる

たぶん生まれて初めて描いた絵はアナログだと思います。そしてアナログ時代から固定観念になりがちなのが『絵は描いていくもの』という意識です。とにかくペンや筆を動かさなくちゃいけないという考え方です。

実際は紙を切ってもいいし、雑誌の切り抜きを貼ってコラージュにしてもいいし、定規をやコンパスを使っていいし、イラストは本来もっと自由なものです。デジタルイラストではなおのこと、便利なツールを使っていっていいのです。

タイムラプスではキャラクターたちに遠近感を付けたり、体格などの大まかなバランスを取るために範囲選択と変形を多用しています。最後に整えるより最初に整えてしまったほうが楽です。使えるツールをなんでも使いましょう。

大雑把でいいのでペン入れする前に色を塗っておく

色塗りが苦手だと言う方は少なくありません。ペン入れまですべて終わってから、苦手意識を感じながら色を塗り始めることもあるでしょう。

色を入れるとイメージがだいぶ変わります。最後の方に違和感に気づいても、絵がほとんど出来上がっているため修正が難しいでしょう。そのようなことを避けるため、少なくともペン入れ前の段階で色を入れてみることをお勧めします。下手でもいい、適当でもいい、仮に色を置くだけ、と自分に言い聞かせてざっくりと塗りましょう。

タイムラプスでも色塗りを渋っていた様子がみられましたが、後々困らないようにペン入れ前には観念して色を塗っています。中央のキャラクターの色は未定だったので、この段階で色を決められたのは良かったと思います。

全体がまとまったら魅せたいところから描き込む

バランスを整えるには全体を見ることが大事だとよく言われます。全体がまとまった場合は次はどうすれば良いでしょうか。一番魅せたいところを描き込みましょう。

ここが重要なのですが、一番魅せたいところの描き込みが全体の描き込み量を左右します。言い換えると、一番描き込んであるその描き込みの密度が、全体をどのくらい描き込むべきかの目安になるということです。

描き込めば書き込むほど、全体の作画コストが上がることを意識しましょう。その描き込みに1時間かかったなら、全体の描き込みは少なくともそれ以上はかかります。そういうわけで、細部を描き込む時は全体の制作にかかるだいたいの時間を意識しながら描くと良いでしょう。

今回のイラストは自作小説の表紙イラストで、時間はじっくりかけてもいいという判断でした。そのためほぼ省略しないで描いたのですが、結果的に完成まで20時間近くかかりました。

1枚のイラストにそんなに時間はかけられない方や、逆にもっと時間を費やしても問題ない方もおられるでしょう。その時間を左右するのが一番魅せたい箇所の描き込みであるということを覚えておくと役に立つかもしれません。

妥協するという決断も大事

こだわり抜くということと、自分の限界を見誤るということを混同しないようにしましょう。エネルギーや時間は有限なので、納得が行かないところがあってもどこかで区切りをつけなければなりません。

バランスに関しても、完璧なバランスを保ちながら理想のイラストを描く方法論はありません。例えば黄金比率や三分法などを完璧に維持しつつイラストを成立させるのは無理があります。

どの工程においても無理をするのではなくベストを尽くすという考え方で挑みましょう。全てにおいてベストを尽くすと言うのは、すべての工程においてヘトヘトになるまで頑張るということではなく、すべての工程が終わる時に自分にできることはやったと思えることです。それはイラストが完成するより、もっと広い視野を含めてもよいかもしれません。絵描きとしてベストを尽くすのです。

私自身もまだまだ勉強することがたくさんあります。イラストももっとこうすれば良いという点を挙げればキリがありません。

付加的な点ではありますが、イラストが描き終わった時「今回もやりきった!よくやった!」と自分を褒めてあげることは、モチベーションにつながるのでお勧めです。

まとめ

この記事ではタイムラプス動画をもとにイラストの整え方について一緒に学んできました。

ぜひこれからも楽しく創作を続けて行きましょう!