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ペン入れありなしを混在させる技法

お絵かきが上達すればするほど重要になってくるのが省略の技法です。省略がうまくいくと作業を時短できるだけでなく、ほどよい抜け感を表現することができます。

省略の技法はとても重要なので、私も習得したいと常々思っています。先日描いたイラストでちょっとしたポイントを見つけたので、この記事で共有したいと思います。

イラストは『Be mine』。舞踏会でみがちゃんがらいあちゃんを庇っているようなワンシーンです。イラストは一部をペン入れして、一部はあえて下書きのままにしています。

みがちゃんの左手はざらついたペンを使っていますが、下書きの上からペン入れしています。それに対して、がうりんの右手は下書きの状態のまま、ペン入れをしていません。これにはどんな効果があるでしょうか。

ペン入れをしたところはかっちりとしたピントの合う静止した印象があり、ペン入れしないところはぼんやりとしつつも動きのある印象があります。

この違いがペン入れの省略の有無を決める指標になります。

つまり、静止的でかっちりと見せたいところはペン入れした方が効果的で、動的でピントが合っていない・焦点がずれている場合にあえてペン入れをしない技法が使えるかもしれないということです。

この点は、お絵かきの教本でもあまり説明されていないように感じます。教本でよく強調されるのは、視点が集まるところを描き込み、それ以外を省略するという点です。

ペン入れ有無の技法は、従来の方法を否定するものではなく補完あるいは付け足すものと考えていただければ幸いです。

今回の方法を採用するかどうかを決める指針として、下書きが持つ独特のエネルギーについても言及したいと思います。

お絵かきしていると下書きはダイナミックで躍動感があるのに、ペン入れをするとそれが失われてしまうように感じることがあります。それでもペン入れをするのは、失うものより得るものの方が大きいからです。

逆説的な言い方になりますが、もし損失が得るものを上回るのであればペン入れをしない方が良い場合がある、と判断できるのではないでしょうか。

そしてその具体的な指標となるのが、前述した動きと焦点になるわけです。

この指標については私にとっても新しい考え方だったので、とても興味深く感じ、さっそく共有させていただくことにしました。