グリザイユ画法がラクになる考え方
イラストを描いてる方は一度はグリザイユ画法というものを聞いたことがあるのではないでしょうか。試したことがある方もいれば、なんだか難しそうと思い敬遠している方もいるでしょう。この記事ではグリザイユ画法がラクになる考え方や描き方を伝授します。
無彩色で描いてオーバーレイで色を付けるだけ
グリザイユ画法については、その歴史から技法まで色々な説明がありますが、本当に覚えなければいけないのは立ったの2つだけです。それは①無彩色で描き込んで②オーバーレイで色を付ける、たったこれだけです。
思い通り色が出せないのは当たり前です
グリザイユ画法でよくある悩みが、思ったような色をだせないということです。結論から言うと、グリザイユ画法で思ったような色が出せないのは当たり前です。なぜかと言うと、色の鮮やかさや明度というのはそれぞれの色相によって一定ではないため、グレーからの色付けにそもそも限界があるためです。
それでも良い色を出したいなら厚塗りしよう
グリザイユ画法で良い発色を実現する方法がないわけではないです。でも、それにこだわりすぎて時間やエネルギーを費やすよりも、グリザイユ画法で色を付けたのち、厚塗りなど別の手法で手直しすることをおすすめします。
ディティールが必要ないなら非採用でOK
描くイラストの絵柄によってはグリザイユ画法が適さないものがあります。アニメ絵やカットイラストのようなベタ塗りで表現するようなイラストにはグリザイユ画法は向きません。グリザイユ画法が適さない絵柄にわざわざ採用するメリットはないです。グリザイユ画法はあくまで画法の一つに過ぎないので、描きやすい方法で描くのが一番良いです。
コンセプトアートやスピードペインティングに向いている
グリザイユ画法のメリットはディティールを描き込みやすくなることと、描く速度が上がることです。デメリットは色の表現力が落ちることです。色よりも速さやディティールが求められるコンセプトアートやスピードペインティングでこそグリザイユ画法が活躍します。そういった絵柄を目指している方は、ぜひ試してみることをお勧めします。
グリザイユ画法で描いてみる
最初に無彩色でイラストを描きます。グリザイユ画法では明るい部分を暗くするのは手間がかかりますが、暗い部分を明るくすることは容易いです。そのため割とがっつりと塗ってしまって大丈夫です。
この上にオーバーレイのレイヤーを重ねて色をつけていきます。そもそもオーバーレイとはなんでしょうか。引用しますと、オーバーレイとは『乗算とスクリーンの組み合わせ(のようなもの)』です。
大体のお絵かきソフトが色を256段階で調整していることを前提に説明すると、色が128より暗かったら乗算、色が128以上の明るさだったらスクリーン合成します。こんなこと言われてもよくわからないですよね。
そういう若干複雑な合成をしているので、無理に理解しようとはせず感覚で色をつけていくのが手っ取り早いです。色を置いてみて暗ければ明るく、明るければ暗くしていけばいいのです。
どうしても出せない色がある場合は、前述の通りさっぱりとあきらめ、通常レイヤーを作って色を重ね塗りしてしまいましょう。
作者の視点から見ると、ダイナミックに描き込めている反面、色表現がいつもより劣っています。でも、そこまでシビアに見なければ、SNSの投稿するイラストとしては十分の出来だと思います。
注目したいのが作業時間です。いつもは一枚のイラストに4〜6時間かかるのですが、このイラストはラフを除いて、下書きから完成まで2時間で完了しました。もちろん塗り残しなどを無視しているというのもありますが、グリザイユ画法は確かに早いです。
まとめ
実際に描いてみた経験も交えて、グリザイユ画法についての記事を書きました。グリザイユ画法は色表現が苦手な反面、スピードとディティールを高めやすい技法なので、興味ある方はぜひ挑戦してみてください。