高校数学で学ぶこと
高校数学は数学I〜III、数学A〜Cの6つに分けられています。
学習範囲
- 数学I - 代数学・三角比・関数(二次関数)・統計学
- 数学II - 代数学・解析幾何学・微分積分学・関数(三角関数・指数関数・対数関数)
- 数学III - 極限・関数(分数関数・無理関数)・微分積分学・媒介変数
- 数学A - 幾何学・論理学・確率論・整数論
- 数学B - 数列・統計学(確率論)
- 数学C - 線型代数学(ベクトル)・二次曲線・複素数平面・統計学(離散数学・行列)
高校数学の目標
数学の視点や思考法を養うことで、以下の種類の能力を高めることを目指します。
- 数学の基本的な考え方やルールを整理し、理解すること。また、日常生活や問題状況を数学的に表現・解決するためのスキルを学ぶこと。つまり、世界を数学的な視点で解釈し、その視点を使って問題を表現したり、解決したりする方法を学びます。
- 数学を使って問題を論理的に考え、理解する能力を伸ばすこと。これには、問題の中心部分や他の問題とのつながりを見つけ、全体的かつ進歩的に考察する力が含まれます。さらに、数学の言語を使って問題をはっきりと、明瞭に、そして正確に表現する能力を伸ばします。
- 数学の価値を理解し、自分から積極的に使ってみようとする意欲を育てます。また、困難に直面した時でも、諦めずに持続的に考え続ける精神を養います。数学的な根拠に基づいて物事を判断する力も養います。さらに、問題解決の過程を自分で振り返り、自分の考え方を深めたり、改善したりする意欲を育てます。これにより、創造的な思考の基礎を養うことも目指します。
数学I
数学Iの目標
数学的な視点や考え方を使いながら、以下のようなスキルを身につけることを目指します。
- 数や式、形状の測定、二次関数、そしてデータ分析の基本的なアイデアやルールを整理し、理解すること。これに加えて、問題を数学的に分析し、数学的な言葉を使って表現したり解決したりする技術を身につけること。
- 命題の条件や結果に注目して、数や式をさまざまな視点から見たり、目的に合わせて適切に変換する能力を養います。図形の各部の関係に焦点を当て、図形の特性やその測定について論理的に考え、表現する能力も養います。関数の関係に着目し、問題を的確に表現してその特性を表、式、グラフと相互に関連付けて考える能力も育てます。さらに、社会問題などから出てくる問題について、データの分散や変数間の関係に注目し、適切な方法を選んで分析し、問題を解決する能力を身につけます。その上で、問題解決の過程や結果を批判的に検討し、適切な判断を下す能力も養います。
- 数学の価値を理解し、積極的に数学を利用する姿勢を育てること。困難に直面したときでも、粘り強く考え続ける姿勢や、数学的な根拠に基づいて判断を下す能力を身につけます。さらに、問題解決の過程を自分で振り返り、考えを深めたり、改善したりする意欲や、創造的な思考の基盤を養うことも目指します。
数学Iの内容
数と式
数や式について学びます。ここでは以下のような能力を身につけます。
- 無理数や実数の重要性を理解し、基本的な計算をします。
- 集合や命題の基本的な考え方を理解します。
- 二次の乗法公式や因数分解の公式を深く理解します。
- 一次不等式の解を求め、不等式の性質について理解します。
また、集合を使った論理的な考察、命題の証明、式の変形、一次不等式を解く方法などの思考力や判断力を養います。
図形と計量
図形とその測定について学びます。ここでは以下のような能力を身につけます。
- 鋭角の三角比の意味とその関連性を理解します。
- 鈍角の三角比の重要性を理解し、その求め方を学びます。
- 正弦定理や余弦定理を用いて、三角形の特性を理解し、辺の長さや角度を求めます。
また、三角比を用いた図形の表現、日常生活や社会での問題解決などの思考力や判断力を養います。
二次関数
二次関数について学びます。ここでは以下のような能力を身につけます。
- 二次関数の値の変化やグラフの特性を理解します。
- 二次関数の最大値や最小値を求めます。
- 二次方程式の解や二次関数のグラフとの関係、二次不等式の解を求めます。
また、二次関数の式とグラフとの関係を理解し、日常生活や社会での問題解決などの思考力や判断力を養います。
データの分析
データ分析について学びます。ここでは以下のような能力を身につけます。
- 分散、標準偏差、散布図、相関係数の意味と使用方法を理解します。
- コンピュータを使ってデータを整理し、基本的な統計量を求めます。
- 仮説検定の考え方を理解します。
また、データの散らばり具合や傾向を数値化する方法、適切な統計量やグラフを選んで分析する方法、事象の特性を表現する方法などの思考力や判断力を養います。
数学Iの課題学習
これらの内容を実生活と関連付けて、自主的に学ぶような課題を設けます。それによって、数学の面白さを感じ、数学的に考える能力を高めます。
数学II
数学IIの目標
数学IIの目標は、数学的な思考法を使って、次のような思考力やスキルを育てることです。
- 様々な数式や図形、方程式、指数関数・対数関数、三角関数や微分・積分の基本的な考え方やルールをしっかりと理解し、物事を数学的に解釈したり表現したりする力をつけること。つまり、何かを数学的に理解したり、問題を数学的に解くスキルを習得することです。
- 数や数式の性質に目を向け、等式や不等式が成り立つ原理を論理的に考える力をつけること。座標平面上の図形の各要素の関係に注目し、方程式を使って図形を簡潔かつ明確に表現し、図形の性質を論理的に考える力をつけること。さらに、関数を使って事象を正確に表現し、その特徴を数学的に考える力をつけること。また、関数の局部的な変化に注目し、問題解決の過程や結果を総括的に、さらには発展的に考える力を育てることです。
- 数学の価値を理解し、数学を活用しようとする意欲を育てること。また、困難に立ち向かいながら論理的に思考し、数学的な証拠に基づいて判断する粘り強さと柔軟さを持つこと。問題解決の過程を振り返り、考察を深めたり改善したりしようとする態度や、創造性の基礎を養うことも目指します。
数学IIの内容
さまざまな数式
数式について学ぶ際、以下の知識とスキルを身につけることを目指します。
- 三次の乗法公式や因数分解の公式を理解し、これらを使って数式を展開したり、因数分解したりします。
- 多項式の除法や分数式の計算方法を理解し、簡単な例で実際に計算します。
- 複素数という概念を導入する意義を理解し、複素数の加減乗除を行います。
- 二次方程式の解の種類や、解と係数の関係について学びます。
- 因数定理という理論を理解し、これを使って高次方程式の解を求めます。
同時に、次のような思考力や判断力、表現力も養います。
- すでに学んだ数や数式の計算方法と新たな数式の計算方法を関連付け、多角的に考えます。
- 実数、等式、不等式の性質を基に、どのように等式や不等式が成り立つかを論理的に考察し、証明します。
- 日常生活や社会の現象を数学的に考え、方程式を使って問題解決に活用します。
図形と方程式
図形と方程式の学習では、次のような知識やスキルを身につけることを目指します。
- 座標を使って、平面上の線分を分割する点の位置や二点間の距離を表します。
- 平面上の直線や円を方程式で表します。
- 物体が動くときの道筋(軌跡)について理解し、簡単な例で軌跡を求めます。
- 不等式で表される領域を理解し、簡単な例でその領域を求めます。
そして、次のような思考力や判断力、表現力も養います。
- 平面上の図形の要素間の関係を理解し、それを方程式で表現します。そして、図形の性質や位置関係について考察します。
- 数量と図形との関係に注目し、日常生活や社会の現象を数学的に考えます。そして、コンピュータなどを使って軌跡や不等式で表される領域を平面上に描き、問題解決に活用します。また、解決過程を振り返り、事象の数学的特徴や他の事象との関係を考察します。
指数関数・対数関数
指数関数と対数関数について学ぶとき、それらがどう役立つのかを理解し、以下のことを学びます。
- 指数を正の整数から有理数へ広げる理由を理解し、指数のルールを使って数値や数式を計算する。
- 指数関数の値がどう変化するか、またそのグラフの特性を理解する。
- 対数の意味と基本的な特性を理解し、簡単な対数の計算を行う。
- 対数関数の値がどう変化するか、またそのグラフの特性を理解する。
また、以下のような思考力や判断力、表現力を養うことを目指します。
- 指数と対数の関係を理解し、それらを結びつけて考える。
- 指数関数や対数関数の式とグラフの関係を多角的に考える。
- 日常生活や社会の事象を数学的に捉えて問題解決し、それを振り返りながら数学の特徴や他の事象との関係を考える。
三角関数
三角関数について学ぶとき、それらがどう役立つのかを理解し、以下のことを学びます。
- 角度の考え方を一般的な角度まで広げる理由と、弧度法による角度の表現方法を理解する。
- 三角関数の値がどう変化するか、またそのグラフの特性を理解する。
- 三角関数間の関係やその他の基本的な特性を理解する。
- 三角関数の加法定理や2倍角の公式、合成について理解する。
また、以下のような思考力や判断力、表現力を養うことを目指します。
- 三角関数の各種特性について考え、加法定理から新たな特性を導き出す。
- 三角関数の式とグラフの関係を多角的に考える。
- 日常生活や社会の事象を数学的に捉えて問題解決し、それを振り返りながら数学の特徴や他の事象との関係を考える。
微分・積分の考え方
微分と積分の考え方について学ぶとき、それらがどう役立つのかを理解し、以下のことを学びます。
- 微分係数や導関数の意味を理解し、関数の定数倍や和、差の導関数を求める。
- 導関数を使って関数の値が増えるか減るか、極大か極小かを調べ、そのグラフを描く方法を理解する。
- 不定積分や定積分の意味を理解し、関数の定数倍、和、差の不定積分や定積分の値を求める。
また、以下のような思考力や判断力、表現力を養うことを目指します。
- 関数とその導関数との関係を考える。
- 関数の局所的な変化を見て、日常生活や社会の事象を数学的に解析し、問題解決する。
- 微分と積分の関係を考え、積分を使って図形の面積を求める方法について考える。
数学IIの課題学習
これらのトピックや、それらが相互に関連するトピックを生活とつなげ、課題を設けることで、生徒が主体的に学習し、数学の素晴らしさを認識する。そして、問題解決や論理的思考など、数学的なスキルを高めることを目指します。
数学III
数学IIIの目標
数学をより深く理解し、適用する能力を育てることが目標です。具体的には次のようなスキルを磨くことを意味します。
- 極限、微分法、積分法などの数学の基本的な原理をしっかりと理解し、それらを使って現実の事象を数学的に表現し、解釈し、解決する能力を身につける。
- 数列や関数がどのように変化するかを観察し、その変化を極限を通じて考える力を養います。さらに、様々な関数の特性に焦点を当てて、それらを利用して問題を解決したり、全体を見る視点を持つことを学びます。
- 数学が楽しいと感じ、積極的に活用する姿勢を持つこと。また、困難な問題に直面しても諦めずに、柔軟に思考する態度を養います。さらに、問題解決の過程を振り返り、それを評価し改善するスキルを磨くことも重要です。これらすべてが創造性を育てる基盤となります。
数学IIIの内容
極限
この部分では、数列と関数の極限について学びます。ここで得られるスキルは:
- 数列の極限を理解し、特定の数列(例えば {})の極限を求められるようになる。
- 無限級数が収束(合計が特定の値に近づく)か発散(合計が無限になる)かを理解し、特定の無限級数の合計を求められるようになる。
- 単純な分数関数や無理関数の変化と、それらのグラフの特性を理解できるようになる。
- 合成関数や逆関数の意味を理解し、特定の場合にそれらを求められるようになる。
- 関数の値の極限を理解できるようになる。
そして、次のような思考、判断、表現のスキルを磨きます:
- 式を多角的に見て、目的に応じて適切に変形し、極限を求める方法を考える。
- 既に学んだ関数の性質を用いて、単純な分数関数と無理関数のグラフの特性を多角的に考察する。
- 数列や関数の極限を中心に、問題を解決したり、問題解決の過程を振り返って数学的な特性や他の事象との関係を考える。
微分法
微分法の部分では、その有用性を理解し、以下のスキルを磨くことを目指します:
- 微分可能性と関数の積および商の導関数(微分係数)を理解し、関数の和、差、積、および商の導関数を求められるようになる。
- 合成関数の導関数を理解し、それを求められるようになる。
- 三角関数、指数関数、対数関数の導関数を理解し、それらを求められるようになる。
- 導関数を用いて、曲線の接線の方程式を求めたり、関数の値の増減や極大値・極小値、グラフの凹凸などを調べ、グラフの大まかな形を描けるようになる。
さらに、次のような思考力、判断力、表現力を磨きます:
- 導関数の定義に基づいて、三角関数、指数関数、対数関数の導関数を考察する。
- 関数の連続性と微分可能性、関数とその導関数や第二次導関数の関係を考察する。
- 関数の局所的な変化や大域的な変化を考察し、問題を解決したり、問題解決の過程を振り返って数学的な特性や他の事象との関係を考える。
積分法
積分法の部分では、その有用性を理解し、以下のスキルを磨くことを目指します:
- 不定積分(原始関数)と定積分の基本的な性質を理解し、それらを用いて不定積分や定積分を求められるようになる。
- 置換積分法と部分積分法を理解し、簡単なケースについて、それらを用いて不定積分や定積分を求められるようになる。
- 定積分を使って、様々な形の図形の面積や立体の体積、曲線の長さなどを求められるようになる。
さらに、以下のような思考力、判断力、表現力を磨きます:
- 関数の式を多角的に見て、目的に応じて適切に変形し、様々な関数の不定積分や定積分を求める方法を考える。
- 極限や定積分の考えを基に、立体の体積や曲線の長さなどを求める方法を考察する。
- 微分と積分の関係に着目し、問題を解決したり、問題解決の過程を振り返って数学的な特性や他の事象との関係を考える。
数学IIIの課題学習
これらの内容を生活と関連付けたり、相互に関連付けたりするプロジェクトを設けて、生徒の自主的な学習を促します。これにより、数学の魅力を認識し、学習意欲を含む数学的な思考能力を高めることを目指します。
数学A
数学Aの目標
次の目標を達成するために、数学的な視点と思考方法を活用します。
- 図形の特性、組み合わせの数や確率について基本的な考え方や法則を理解し、それらが人間の生活とどう関連しているかを深く理解します。また、現象を数学的に理解し、数学的に表現し、解釈する方法を身につけます。
- 図形の各部分がどのように関連しているかを注意深く見て、図形の特性を理解し、論理的に考える能力を育てます。また、不確定な状況に目を向け、確率の法則を用いて事象がどれだけ起こりやすいかを判断する能力を育てます。そして、数学が私たちの生活にどう関わっているかを理解し、事象が持つ数学的な構造を見つけ出し、それについて数学的に考える能力を育てます。
- 数学の素晴らしさを認識し、数学を積極的に活用する意欲を育てます。また、困難を乗り越えて粘り強く考える力や、数学的な理由に基づいて判断する力を身につけます。さらに、問題を解決した後にその過程を振り返って考え直す能力や、評価して改善する能力、そして創造性の基礎を育てます。
数学Aの内容
図形の特性
この部分では、数学の活動を通じて、図形の特性がどのように役立つのかを理解します。具体的には以下のような知識やスキルを身につけます。
- 三角形、円、空間図形などの基本的な特性について学びます。
- 図形の各部分の関係や既学の図形の特性に注目して、新しい特性を見つけ、その特性を論理的に考えて説明します。
- コンピュータなどのツールを使って図形を描いたり、図形の特性や描き方について深く考えます。
組み合わせと確率
組み合わせと確率の部分では、数学の活動を通じて、これらの概念がどのように役立つのかを理解します。具体的には以下のような知識やスキルを身につけます。
- 集合の要素の数に関する基本的な関係や、和の法則、積の法則などを理解します。
- 実際の状況を元に順列や組み合わせの意味を理解し、それらの総数を求める方法を学びます。
- 確率の意味や基本的な法則を深く理解し、これらを使って事象の確率や期待値を求めます。
- 独立な試行の意味を理解し、その確率を求める方法を学びます。
- 条件付き確率の意味を理解し、簡単な場合についてその確率を求める方法を学びます。
- 事象の構造に注目して、組み合わせの数を求める方法を様々な角度から考えます。
- 確率の特性や法則に注目して、確率を求める方法を様々な角度から考えます。
- 確率の特性を使って事象の起こりやすさを判断したり、期待値を意思決定に使ったりします。
数学と人間の活動
数学と人間の活動の関連性について学び、数学を使ってそれらを考察することの役立ちを理解します。具体的には以下のような知識やスキルを身につけます。
- 数量や図形などの概念が人間の活動とどのように関わっているかを理解します。
- 数学の歴史や数理ゲーム、パズルなどを通じて、数学と文化の関連性について深く理解します。
- 自分の興味に基づいて数量や図形などの概念をさらに発展させ、それらについて考えます。
- パズルなどで数学的な要素を見つけ、目的に応じて数学を活用してそれらを考察します。
数学B
数学Bの目標
数学Bの目標は、数学の視点や考え方を使いこなす能力を育てることです。具体的には以下のような点を目指します。
- 数列や統計的な推測の基本的な考え方や法則をしっかりと理解しましょう。そして、数学が日常生活とどのように関わるのかを深く理解しましょう。さらに、物事を数学的に見る、解釈する、表現する、処理するといった技術を習得します。
- 事物の変化のパターンを数学的に表現し考える能力を身につけましょう。また、確率分布や標本分布の特性を使って大きな傾向を推測したり、サンプル調査の方法や結果について批判的に考える能力を養います。さらに、日常生活や社会の出来事を数学的に理解し、問題解決に取り組んだり、解決策や結果について振り返り考える力を育てます。
- 数学の美しさや有用性を理解し、数学を積極的に活用する意欲を持ちましょう。頑張り続けて柔軟に考え、数学的な根拠に基づいて判断する態度を育てます。また、問題解決の過程を振り返り、それを深く理解し、改善しようとする意識と創造性の基盤を養います。
数学Bの内容
数列
数列の勉強では、その有用性を理解し、以下の知識と技能を身につけることを目指します。
- 等差数列と等比数列について学びます。それらの一般項や和の求め方をマスターします。
- さまざまな数列の一般項や和の求め方について学びます。
- 漸化式の意味を理解し、それを使って物事の変化を表現したり、簡単な数列の一般項を求めたりします。
- 数学的帰納法について学びます。
さらに以下のような思考力や判断力、表現力を育てます。
- 物事から変化のパターンを見つけ出し、それを数学的に表現したり考察したりします。
- 物事の繰り返しの関係性に目を向け、日常生活や社会の問題を数学的に捉えて数列の考え方を使って解決します。
- 自然数の特性を見つけ出し、数学的帰納法を使って証明したり、他の証明方法と比較して考察します。
統計的な推測
統計的な推測の学習では、その有用性を理解し、以下の知識と技能を身につけることを目指します。
- 標本調査の考え方について深く学びます。
- 確率変数と確率分布について学びます。
- 二項分布と正規分布の特性や特徴について学びます。
- 正規分布を使った区間推定や仮説検定の方法について学びます。
さらに以下のような思考力や判断力、表現力を育てます。
- 確率分布や標本分布の特性を、平均、分散、標準偏差などを使って考えます。
- 目的に応じた標本調査の設計方法を学び、収集したデータをコンピュータなどを使って処理し、全体の特性や傾向を推測します。また、標本調査の方法や結果について批判的に考察します。
数学と社会生活
数学と社会生活の学習では、数学的な考察の有用性を理解し、以下の知識と技能を身につけるこ
とを目指します。
- 社会生活で起きる問題を数学を使って解決する意義について学びます。
- 日常生活や社会の出来事を数学的に解釈し、数学を使って問題を解決する方法を学びます。
さらに以下のような思考力や判断力、表現力を育てます。
- 日常生活や社会の出来事において、数や量、形やそれらの関係性に着目し、問題を数学的に表現します。
- 数学化した問題の特性を見つけ出し、それを解決します。
- 問題解決の過程や結果の正当性について批判的に考察します。
- 解決過程を振り返り、その方法を一般化して他の問題解決に適用します。
数学C
数学Cの目標
数学Cの目標は、数学的な思考を鍛えることです。そのために、次のような能力を身につけることを目指しています。
- ベクトルや曲線、複素数平面などについて、基本的な考え方やルールをしっかり理解し、数学的な表現のやり方を工夫すること。さらに、問題を数学的に解く、解釈する、表現するスキルを身につけることを目指します。
- ベクトルのような、大きさと向きを持つものに焦点を当て、その演算法則や図形的な意味を理解する力を育てます。また、図形やその構造について、全体的に発展的に考える力や、数学的な言葉で事象を明瞭に説明する力を養います。
- 数学の良さを理解し、数学を積極的に活用する意欲を育てます。また、問題に対して粘り強く、柔軟に思考し、数学的な根拠に基づいて判断する態度を身につけることを目指します。さらに、問題解決の過程を見直して改善する態度や、創造性を発展させる基盤を養います。
数学Cの内容
ベクトル
ベクトルについて学習することで、次のようなスキルを身につけることが目標です。
- 平面上でのベクトルの意味や操作(加算、減算、スカラー倍など)、位置ベクトル、ベクトルの成分表示を理解する。
- ベクトルの内積とその基本的な性質を理解する。
- 座標とベクトルの概念が平面だけでなく、空間にも適用できることを理解する。
さらに、次のような思考力や判断力を鍛えます。
- 実数の計算法則を用いて、ベクトルの計算法則を考察する。
- ベクトルやその内積の基本的な性質を用いて、平面図形や空間図形の特性を探し、多角的に考察する。
- 数量や図形、それらの関係に焦点を当て、日常や社会の事象を数学的に捉え、問題解決にベクトルやその内積の考えを活用する。
平面上の曲線と複素数平面
平面上の曲線と複素数平面について学習することで、次のようなスキルを身につけます。
- 放物線、楕円、双曲線が二次式で表され、その基本的な性質を理解する。
- 曲線のパラメータ表示を理解する。
- 極座標の意味と、曲線が極方程式で表されることを理解する。
- 複素数平面と複素数の極形式、複素数の実数倍、加減乗除の図形的な意味を理解する。
- ド・モアブルの定理を理解する。
また、次のような思考力や判断力を鍛えます。
- 放物線、楕円、双曲線を相互に関連付けて考える。
- 複素数平面上の図形の移動と関連付けて、複素数の演算や累乗根の意味を考える。
- 日常の事象や社会の事象を数学的に捉え、コンピュータを用いて曲線を描くなど、パラメータ表示や極座標、複素数平面の考えを問題解決に活用
し、解決の過程を振り返って事象の数学的な特徴や他の事象との関係を考察する。
数学的な表現の工夫
数学的な表現の工夫について学習することで、次のようなスキルを身につけます。
- 日常の事象や社会の事象を、図、表、統計グラフなどを用いて表現することの重要性を理解する。
- 日常の事象や社会の事象を、離散グラフや行列を用いて表現することの重要性を理解する。
また、次のような思考力や判断力を鍛えます。
- 図、表、統計グラフ、離散グラフ、行列などを用いて、日常の事象や社会の事象を数学的に表現し、それを考察する。