私の(狂気の)イラスト上達法

私の(狂気の)イラスト上達法

2020-09-20

どうしたらイラストが上達するか知りたいと思いませんか。私はこれまで差し障りのない練習方法を記事にしてきましたが、今回は私が実際に実践した上達法を書きます。最初に注意してほしいのですが、これら上達法の一部は狂っています。 上達ポイント:イラストを描くことを目的にしない

私はこれまでイラストを上手に描くことを目的に描いたことはほとんどありませんでした。私のイラストは常に何らかのプロジェクトに付随するものです。小学生のころから変わっていません。

小中学生の頃はノベルゲーム作りたかったので立ち絵を描くことだけを意識していました。画面に映らない下半身や横顔、後ろ姿などは全て無視です。キャラの特徴や表情がわかればよかったので、絵の上手さは割とどうでもいいことでした。 上達ポイント:心の中で絵の師匠を作る

私には制作するにおいて心の中に明確な師匠がいます。尊敬する絵描きさんは数え切れないほどいますが師匠はひとりです。私の心の中の師匠は男鹿和雄さんです。

弟子は師匠の真似をします。私は男鹿和雄さんと同じような道具を揃えて、画集を買って、タッチを研究します。画集を開いて、色の選び方や筆の運び方などを可能な限り寄せるようにします。

ちなみに絵の個性はどうでもいいことです。弟子が師匠に似るのは喜ばしいことです。そして、弟子が師匠を超えることはありません。そして残念ですが、個性はどうあがいたところで勝手に付いてきます。どうぞ観念してください。 上達ポイント:ジグソーパズルを解く

私はジグソーパズルを解いて初めて背景を描くということがどういうことなのか理解することができました。2000ピースくらいのジグソーパズルを解くと何十時間もその作品を真剣に見つめることになります。そうでもしないと一つの作品を長時間見ることはないでしょう。ジグソーパズルは作品を真剣にじっくりと見る訓練になる優れた教材です。

作者はジグソーパズルを解くよりずっと長くの時間をイラストと向き合っています。その時間と労力の感覚を簡易的にですが感じることができます。私は1ピースに詰め込まれた情報量に驚きました。でも、なぜか誰ひとりとしてこの方法を実践しません。 上達ポイント:お絵描き中に音楽を聴かない

お絵かき中に聴いている音楽を聴かれることがありますが、私はお絵描き中は音楽を聴きません。構想段階で心が盛り上がっているとき、下書きやペン入れで集中しているときに、音楽に水を差されたくないのです。音楽を聴くのは単純な作業をするとき限定です。

これは聴く派と聴かない派がいるようで、どちらがいいとは言い切れません。私はただ、集中して絵を描いているときに音楽に邪魔されるのを耐えることができないだけです。音楽は大好きです。たくさん聴きます。でも集中してるときの音楽はごめんなさいです。 上達ポイント:指を墨につけて、指で絵を描く

これは絵は視覚で楽しむものとお考えの方にとっては理解しがたい話です。私は絵を描くのに五感が大切だと思っています。冷たいとか暖かいとか、ざらざらしてるとか、うるさいとか静かだとか、視覚以外の感覚を絵に宿すには、やはりその感覚を要します。果たしてどれほどの絵描きがいつもお世話になっているインクの冷たさを知っているでしょうか。私は墨汁に五本指をつっこんで、その冷たさを感じながら紙を撫でました。

また絵描きにとってペンは体の一部と言われてピンとこない方には、意味不明な話ですが、指で描くという延長上にペンで描くという行為があります。指には神経が通っているので、描くことの感覚を知覚することができます。この感覚をペンで描くときに活かすことができます。そしてこの話は理解できない人にとっては単なる狂気にすぎません。 上達ポイント:障子紙を広げて描く

デジタル時代になって、絵の大きさというものを体感することが少なくなりました。大きい絵を描くというのはどういう行為なのか、体がわかっていないことがあります。私はそのことに不安を感じていました。私は自分の身長を超える巨大なイーゼルを作り、巨大なキャンバスを作り、障子紙を貼り付けてそこに絵を描きました。

腕を大きく動かすということ、インクがすぐになくなるということ、体を大きく動かす楽しさ、作品との距離感、様々なことを体験することができました。もしかすると私は、砂に絵を描いて次の日には消えているような、そのぐらいの原始的な創作が好きなのかもしれません。 上達ポイント:アナログ道具を一通り試す

アナログ道具を知らなくても絵描きにはなれます。プロにもなれます。ただ私は知らないままでいるのは嫌だったので、できるだけアナログ道具を手に入れて試しました。水墨画は思いのほかアニメ絵と相性がよく、透明水彩はインクが固め、ポスターからは万能で、油絵は洗浄油の匂いがダメでした。乾燥やカビとの闘いもありました。

コピー用紙は目が荒く、ケント紙は目が細かくて漫画に向いており、水彩紙は水彩用ですがそれでも歪み、油絵用のキャンバスはよくわかりませんでした。書道の筆は意外と絵に向いており、水彩筆は細かい描写が少し苦手で、豚毛は硬くて私は苦手でした。細かいところがどうしても塗れず、綿棒や爪楊枝を使うこともありました。

私は今のデジタル世代の子どもたちに、同じ苦労をした方がいいとは言いません。楽できるなら楽しましょう。アナログを知らない人たちが新しい手法を開拓しているのを私は興味深く観察しています。そのうちARで空間に描くのが標準になる時代が来るかもしれません。 上達ポイント:コピー用紙は箱買い(2500枚)する

500枚入りのコピー用紙ではすぐになくなってしまうので、コピー用紙は箱買いしていました。当然イラストの整理整頓などできるはずもなく、紙が山のようになっていました。たくさん描こうとしていたわけではありません。紙がすぐに足りなくなるだけです。 上達ポイント:修正をひたすら繰り返す

たくさん買ったコピー用紙で何をしていたのかと言うと、描いたイラストをひっくり返して修正し、それを透かしてまた修正し、それをひっくり返してさらに修正し、それを繰り返していました。

試行回数が20回に及ぶこともありました。机の上には同じ絵で埋め尽くされました。お手本を見ながら、なぜこういう風にならないのかと頭を抱えながら、修正に修正を重ねました。それでも治らず、最終結果がより悪くなることもしばしばありました。

その最終結果が自分が紡ぎ出せる最高のものであり、私の内奥にある可愛さの感覚や肉体についての理解が追いついていないことの証明でもありました。簡単に言うと、その結果とお手本のズレが改善すべきポイントというわけです。正直に言ってこの作業は苦行ですが、私はこれが好きでした。 上達ポイント:お気に入りのスクラップブックを作る

本は綺麗に使うべきものという考えを、ある時点で捨てました。線を引いたり書き込んだりしていいし、もっと言えばページを破ってしまってもいいのです。私は可愛いイラストの載っている雑誌を買って、お気に入りのイラストを切り抜いてスクラックブックを作っていました。

キャラクターデザインの参考に使うことが多く、それらの要素を組み合わせたり引いたりしながら新キャラを考えるのが好きでした。今でもpinterestなどのサービスを用いて、電子的にスクラップブックのようなものを作成しています。 上達ポイント:すべての絵描きは自分より上

私はすべての絵描きは自分より上だと考えるようにしています。すべての絵描きは何らかの点で私を上回る何かを持っており、学べる点が必ずどこかにあります。実のところ、今はあまり評価されていない若い人の絵から学べることがかなり多いです。 上達ポイント:1日に3000作品をチェックする

これは狂気以外の何物でもないのですが、ネットに投稿される作品を1日に3000作品くらいチェックしていました。プロ・アマ、初心者・玄人問わず、ひたすらイラストをチェックして現代のイラストの潮流を探っていました。

私はそれを掴み、イラストに反映させ、しかしまた変化が訪れ、私はそれをまた取り込もうとしています。1日3000チェックは苦行なのでやめておきましょう。ちなみに次の潮流はセピア調で若干水彩風の優しげなタッチだと検討をつけています。どうやって私の画風に取り込もうか考え中です。 上達ポイント:ポーズは自撮りする

複雑なポーズは自撮りします。あるとき、難しいポーズを描くために机の上に何回も飛び乗って筋肉痛になりました。今でもスマホのフロントカメラを用いて、パシャパシャと取りながら描いています。鏡も便利です。 上達ポイント:形がわからないものは調べる

正確な形がわからないものがある時は調べるようにしています。というより新しいモチーフにチャレンジすることが多いので、毎回のように調べています。

逆説的な話ですが、イラストは基本的に描けないものを描くので、常に描けないものを乗り越える行為が付き纏うので、上達というものは究極的には存在しないのではないかとさえ思えてきます。 上達ポイント:飽きることを受け入れる

この記事では上達法をいろいろ書いていますが、実際、上達を頑張り続けるのは難しいです。絵描きとして認めがたい事実なのですが、イラストを描くことそのものが飽きることがあります。

私は飽きた時は絵を描くことをすっぱりやめて動画をみたりゲームやったりしています。絵を描けなくなることが不安かもしれませんが、心配はいりません。何度飽きても少し休めば、絵描きはまたすぐに絵を描きたくなります。それが絵描きです。 上達ポイント:多くのアドバイスは当てはまらない

私はイラストに限らず上達法や練習方法といった類のことが大好きで、図書館に通っては様々なハウツー本を読んでいました。そしていろいろな方法を試してみてわかったことがあります。それは大多数に当てはまるアドバイスだとしても自分に当てはまるとは限らないということです。

むしろ自分に当てはまらないアドバイスの方が多いです。例えば、英語の教本は英語がそもそも上手な人の目線で書かれているので、英語が苦手な人が教本通りに勉強しても習得できないことが多々あります。

絵描きたちは育ちも環境も違うので、自分にぴったりのアドバイスというのはなかなかないものです。多くのアドバイスは道標というよりは一つの足がかりに過ぎません。とりあえず試してみて、自分に合わなかったら別の方法を試すというぐらいの軽い気持ちで始めてみるのが良いでしょう。 上達ポイント:上達に執着しない

私の場合はゲームの素材や楽曲のためのイラストが主なので上達は二の次でした。私は素材のために描いているだけでしたが、他の人から見たら上達しているように見えるかもしれません。

蝶も鳩も恋もイラストも執着しない方が捕まえられるものです。追いかけると逃げてゆき、思いがけない時に舞い降ります。イラストの上達は追いかけるものではなく付いてくるものなのです。

それでは良い創作を。