無断転載について私が思うこと

無断転載について言及されているのを見聞きすると、私は一つの格言を思い出します。それは古代の格言で、不正に富を集める者をある鳥に例えた言葉です。その鳥は、キジ目キジ科の鳥です。

その格言には二つの解釈があるようです。1つ目はその鳥が不正に卵を集めても育てきれず、結局は無駄にしてしまうという解釈です。2つ目はこの鳥の巣が攻撃を受けやすいという解釈です。

私はその格言の正確な適用を知りません。ですから、ここに書くのはあくまで私の勝手な考えです。私は無断転載について聞くと先ほどの格言を思い出し、こう考えます。

無断転載は無駄である

無断転載は身に余る、ということです。

それは到底、転載する者に管理できるものではありません。著作者の思いも労力も知らないからです。それがどれだけ重みのあるものかを知りません。

後になって、それを手放すでしょう。転載する者は、時間と手間を無駄に浪費しただけなのです。

また、無断転載は強い感情を伴って非難されます。著作者自身がそうすることもありますが、それを見た人が強い言葉を持って非難することもあります。それで、私はこう考えます。

無断転載は非難される

無断転載は非難の的になる、ということです。

なぜそれほどまで非難されるのでしょうか。無断転載は著作者にも視聴者にも強い反発感を与えます。感情に影響を与えるのです。

無断転載をする人は、その行為の意味を知っていてもいなくても、遅かれ早かれ非難されることになります。

無断転載ではなく無許可転載と呼びたい

ところで、私は無断転載という言葉を聞くたびに、この言葉は不正確だと感じます。無断で転載すること自体が悪ではないケースがあるからです。どういったケースがあるでしょうか。

例えば、フリー素材など、著作者が転載を許可している著作物があります。そして無断で転載することを許可している場合もあります。その素材を「無断転載」するのは悪いことではありません。

そこで私は、無断転載ではなく「無許可転載」と呼ぶことにしています。あくまで個人的にそう読んでいるにすぎません。いずれにせよ、無許可で転載するのは良くありません。

クリエイティブ・コモンズという選択肢

逆に自分が正当な著作者で、かつ作品に転載の許可を与えたい場合はどうすればよいでしょうか。例えば、フリー素材を作っていたり、作品を多くの人に利用してほしい場合です。

自分で利用規約を設定することもできますが、すべてを考えるのは大変です。ですから、すでにあるライセンスから選ぶのは有用な選択肢の一つでしょう。そのうち、よく使われているライセンスがクリエイティブ・コモンズです。

クリエイティブ・コモンズでは、設定したい制限の強度によって条件を自由に選択することができます。例えば、CC-BYでは著作者名を明記することを条件に転載を許可します。このライセンスでは改変や商用利用も許可していることになります。CC-BY-NDとすることで、著作者名を明記し、改変しないことを条件に転載を許可することができます。

クリエイティブ・コモンズは、日本のイラスト界隈に広まってはいないように見受けられます。この考え方は最初は受け入れにくいかもしれませんが、ぜひ一つの選択肢として広まってほしいと思っています。

クリエイティブ・コモンズを採用している方にイラストレーターの草壁さんがいます。

無断転載についての正しい教育が必要

無断転載への注意喚起はこれまで幾度もなされてきました。ときには非常に強い調子で語られてきました。それでも無断転載はなくなりません。では、それらの努力は無駄だったのでしょうか。

私はそうは思いません。少なからずルールを知らずに転載してしまう方がいると思っているからです。例えば、子供は盗みは良くないこと知らなければ、平然と盗みをしてしまいます。しかし、きちんと教育されるなら、それが悪いことだとわかり、もう盗まなくなります。

ですから、インターネット時代の守るべきルールとして、たとえそれが実体をもたないデータだったとしても、他の人の著作物を無許可で転載するのは良くないことであると、きちんと教えていくことはこれからも必要であると私は思います。

巧妙な転載「リスナップ」の罠に注意

多くの人は気づいていないかもしれませんが、SNSで利用されるリスナップも転載の一種です。もちろん利用者はそれを承知の上で利用しているはずなので、それ自体が悪いというわけでは決してありません。

しかし、問題になるのは、そのリスナップが他とは違う動作をする場合に、その仕様について正しく理解していないならトラブルが発生しかねないということです。一つの例を考えてみましょう。

あるSNSではリスナップに相当する機能が実装されていました。好きな作品をリスナップすると、フォロワーのタイムラインにその作品が流れていきます。これ自体はなんら問題はありませんでした。しかし、後になって著作者が作品を消したとき、リスナップされたものは消えませんでした。何と作品とリスナップが紐付いていなかったのです。

ここまで極端な仕様のSNSは珍しいかもしれませんが、リスナップが利用者間での同意のもとに行われる一種の転載であるということを念頭に置いておくのは賢明です。またSNSによってリスナップの挙動が異なる可能性があるということも覚えておくと良いでしょう。

正直であることの安心感

無断転載をしない、つまり無許可で他人の著作物を公開しないことは、その人にとって益になります。自分が作った作品だけを公開することに咎められることは何もありません。誰かから非難されることも回避できるでしょう。それは安心感を与えます。

私たちは創作が騒然とした口論ではなく、和やかな安心感を生じさせることを望みます。そしてそれは小さな一歩から始めることができます。自分の正当な創作物だけを公開し、無断転載しないことによってです。

記事のタイトル「無断転載について私が思うこと」| 公開した日付()| 更新した日付(2018年7月24日)| 更新した回数(1回)