自己紹介が苦手なのは私だけではないはず

自己紹介が苦手なのは自分だけではないと信じて、この記事を書く。

このウェブサイトには自己紹介のページがない。大抵のウェブサイトにはあるプロフィールのページがない。プロフィールのページにはウェブサイトを運営している者のハンドルネームや趣味趣向が書かれる。しかし、このウェブサイトにはそれがない。

書き忘れたのではない。書かないのでもない。書けないのである。特別な事情があるわけでもない。書かないことに意義を求めているわけではないのだ。それはただ、自己紹介が苦手だというだけの理由による。

己を紹介するというのは、なんとも言えない難しさがある。紹介とは大抵、物や他者を誰かに知ってもらうときにするものだ。物や他者を紹介するのは、得手不得手を別にして、意味としては容易い。好きなところを述べればよいのである。

音楽愛好家が、自分の好きな音楽について紹介するのは容易い。どこが素晴らしいのか。どのアーティストがお気に入りなのか。どんなジャンルが好きなのか。どういうところに魅力を感じているのか。大いに語ることができる。

ところが自分について語るというのは、そうはいかない。自分の好きなところだって? 自分の魅力? 人に紹介するほどのものを持っているとは到底思えない。自分の短所には気づけても、長所にはなかなか気づけないものだ。まして、それを誰かに紹介するだなんて。

物や他者を紹介するのと同じように自分を紹介することは、とてもできそうにない。自分について熱く語るなんてしたくない。それは他者がするべきであって、自分がすることではない。それでは自己紹介ではなく、ただの自慢になってしまうだろう。

自己紹介とはなんだろう。どんなときに私たちは自己紹介をするのだろうか。私は自己紹介について、2つの目的に分類できることに着目した。1つ目は交友のため、2つ目は職のためである。友達を作るか、仕事を作るかということだ。

交友のための自己紹介は、友達を作ったりグループに交ざったりするために行う。学校やサークルでの自己紹介もこれに当てはまる。仮説として、ひとまずそういうことにしておこう。交友のためと考えると、見えてくるものがある。

自分が誰かと交友を持ちたい場合、その人についてどんな情報を知りたいと思うだろうか。どんなことを知っていれば、その人に近づきやすくなるだろうか。それは名前であったり出身地であったりする。その人の信条を知っておきたいし、好きなことや嫌いなこと、人となりを知りたい。

誰かと仲良くなるには、共通の土台が必要だ。同じ趣味を持っていたり、同じことに関心を持っていたりするといい。だから、交友のための自己紹介では、自分の趣味とか関心について話すのだろう。せっかくなので、箇条書きにしてみる。

交友のための自己紹介で話すこと:

  • 名前
  • 出身地
  • 信条
  • これまでの経緯
  • 趣味や関心事

もちろん他にも話せることは沢山あると思う。年齢とか好きな食べ物とか。でも、突き詰めていくと《交友する上で、その人にしちゃいけないこと、良いこと》を知りたいのだと思う。仲良くやっていく上での必須情報を知りたいのだ。例えば、嫌いな食べ物をしらずにご馳走してしまって、嫌われたくはない。

職のための自己紹介についても考える。それはおそらく面接で聞かれるようなことだ。名前や出身や信条は同じく話すべきだろう。でも、趣味や関心事については多くは語らなくていい。むしろ、どんな技能を持っているのか、どんな経験をしてきたのかを知ってほしい。

自分を売り込むとも言われる。自己PRとも言う。これは自分がいかに優れているかを自慢することではない。どんなことで役に立てるのか、相手の知りたい情報、つまり自分の技能や経験や人となりを説明するわけである。こちらも箇条書きにしておく。

職のための自己紹介で話すこと:

  • 名前
  • 出身地
  • 信条
  • 役に立てる技能や経験

自己紹介を講演のように考える必要はないと思う。また、堂々と自信を持って、朗々と話したり笑いをとったりする必要もないはずだ。それは自己紹介で求められていることではない。自己紹介で必要なのは、交友や仕事を円滑にやっていくための情報を提供することだからである。

さて、ここまではリアルでの話である。ネットではどうだろうか。明らかにネットでリアルの情報を安易に公開すべきではない。本名や住所を載せるのは絶対に避けるべきだ。もしネットをリアルの延長と考えているなら、極端に言えば自己紹介は必要ないとさえ言えるかもしれない。いや、これは正確な言い方ではないかもしれない。名前・住所・出身地など個人を特定できるもの載せないということだ。

仮にネットを擬似的なリアル、仮想的な遊び場だとしよう。そうすると先ほど考えた2通りの目的に合わせることができる。交友のための自己紹介と、職のための自己紹介である。ネットで交友や職を求めることの是非については様々な意見があると思う。ここで書くのは、何かを推奨してのことではないことを記しておく。

ネットでの自己紹介で書けること:

  • ハンドルネーム
  • 主に活動しているサイトのIDやURL
  • ネットでのポリシーや人にされたくないこと(いわゆる地雷)
  • これまでのネットでの活動経歴
  • 趣味や関心事(交友のため)
  • 役に立てる技能や経験(職のため)

私の場合を例として挙げてみる。

  • ハンドルネーム:dolphilia
  • ウェブサイトのURL:https://dolphilia.com
  • ネットでのポリシー:『期待に応えない』
  • ネットでの活動経歴:たまに絵を描く

ところで、ネットでは自己紹介は必要ないという意見について、こんなことを考えた。活動そのものが自己紹介になっているという考え方である。例えば絵師であれば、描いた絵そのものが絵師を紹介していると考えられる。

絵師はこう言うかもしれない。「私について知りたければ、私の絵を見てください」。絵を見た人はこう思うかもしれない。「この絵を描いたのはどんな人なんだろう」「私について知りたければ・・・」。回答がぐるぐると巡って面白い。

自己紹介が苦手な私はこの考え方に賛成したくなる。「私のプロフィールは、ハンドルネームとウェブサイトを別にすれば、作品がすべてです」と。

とはいえ、もし交友や職を求めたいのであれば、それなりの情報を与えなければならない。そして、私はここでついに、次の結論に気づいてしまった。

私は自己紹介が苦手なのではない、交友や職を求めることが苦手なのである、と。

いや、結論を急ぐのはよそう。

記事のタイトル「自己紹介が苦手なのは私だけではないはず」| 公開した日付()| 更新した日付(2018年7月2日)| 更新した回数(1回)