絵師を本気にさせる依頼の仕方

あなたは絵師にイラストを依頼したことがありますか。あるという方にとっても、これから依頼するという方にとっても「どうしたら絵師の力を最大限に発揮させられるか」に関するこの記事は役に立つでしょう。

絵師に力を出してもらうには、絵師について知る必要があります。絵師はどんなことを考えているのでしょうか。

絵師が「絵」を一番気にしている

絵師が一番気にしているのは「絵」です。当然のことと思われるかもしれませんが、この点は重要です。絵師にとっては、あなたのプロジェクトよりも絵のほうが大事だからです。

絵師はプロジェクトの動向をあまり気にしていません。そのプロジェクトがどれほど素晴らしいことを成し遂げているのか、どんな社会的な意義があるのか、どんな人のためのものなのか、それほど重視してはいません。

淡白だと感じるでしょうか。この点に関して、どうか絵師を責めないでください。それだけ本気で絵と向き合っているということだからです。この点から学べる要点があります。

絵師とのやり取りは絵に関係したものに留める

絵師とのやり取りは主に絵に関係するものに留めましょう。絵師と必要以上に親しくなろうとしたり、関係のないことをあれこれ言ってはなりません。それは逆効果です。

確かに一般的には酒の席を共にして親睦を深めたり、仕事とは関係のないことを共有することでより親密感が増したりするのかもしれません。

しかし、絵師は基本的にコミュニケーションが苦手です。それは会話が苦手というだけでなく、文章でのやり取りについても同じことが言えます。ですから、苦手なことを無理強いして絵師を困らせないようにしましょう。

最初にテーマを簡潔に伝える

絵の依頼の内容についてはどんなことが言えるでしょうか。テーマを簡潔に伝えることが大切です。

絵師は絵に関係することなら、なんでも知りたいと思っています。一番知りたいのは作品のテーマです。絵師は話を聞きながら、頭の中では絵の構想を練っています。テーマを与えてあげるならば、絵師はいわば絵の骨組みを組み立てることができます。

テーマを伝えるのに多くの言葉はいらないはずです。先ほど述べたように文章が苦手な絵師もいます。簡潔に作品のテーマを伝えてください。

具体的に依頼する

絵師の柔軟性を知ると驚かされるかもしれません。期日が1日でも1週間でもクオリティを調整して仕上げてきます。払える賃金が安くても高くても、それに見合ったイラストをきちんと描くことができます。

そして重要な点ですが、何も指示されないなら、何も指示されないなりの対処法を心得ています。あなたにもターゲットにも受け入れられるよう、可能な限り無難な絵を描いてくることでしょう。そして、たぶんそれはあなたの求める絵ではないはずです。

このように絵師は柔軟に対応できるので、すべてを絵師任せにするのではなく、要望をできるだけはっきり伝えるようにしましょう。その方が絵師に力を発揮してもらえるからです。

次のような事項を依頼に含めてください。

  • 担当者・関わることになる人についての情報
  • 経理部・経理担当の人についての情報
  • 領収証の必要の有無
  • 希望の賃金
  • 支払い方法(銀行振込など)
  • 前払い・後払い・一括・印税
  • 期限・スケジュール
  • 絵のテーマ
  • 絵のサイズ・形式
  • 媒体は紙かネットか
  • 色はカラーかモノクロか
  • デザイナーからの指示
  • 絵に求められるクオリティ
  • 狙うターゲット
  • 絵に加えたい要素

絵師はいろいろな絵を描けるように訓練しています。絵師があなたのプロジェクトにとって最高の絵を描けるように、具体的にはっきりと伝えてください。

スピーディに要望を伝える

絵師はいくつかの不安を抱えながら絵を描きます。その一つがリテイクです。描き直しは本当に大変です。それで予防策を講じます。例えば、何種類かのラフを送るかもしれません。依頼主の要望を引き出すためです。

確かに、絵が形にならないと要望の出しようがないかもしれません。絵師はそれを分かっています。しかし、それでも一度できた絵を作り直すのはとても消耗しますので、絵師はそれを避けたいと思っています。

ですから、要望が分かったなら、すぐに連絡してください。すぐにです。

絵師は要望が来るまで絵を固めないように、なんとか粘っているのです。知っていましたか。絵師は要望を待っています。もし絵師に「もう絵は変えられません」と言われたなら、それは切実に変えようがなくなってしまった、ということなのです。

繰り返します。要望はスピーティに伝えましょう。

信頼して託して見届ける

例えば会社に新人が入社したとしましょう。真面目そうな若者で、少し内気そうに見えます。信頼して仕事を任せるべきでしょうか。心配なので最後まで見届けるべきでしょうか。答えは両方です。

絵師にもいろいろな人がいますが、少なくともあなたとのプロジェクトは初めてです。いわば新人です。ですから、その人にできる仕事を信頼して委ねることと、最後まで見届けることが大切になってきます。

信頼されると、力を発揮しやすくなります。きっとその絵師は、できる最高のものを仕上げてくるでしょう。同時にあなたとの仕事は絵師にとっても初めてなので、最後まで成し遂げられるようにフォローしつつ見届けてください。

絵師のクーポンを活用する

絵師は最初の依頼ではある意味で新人です。あなたが信頼できる人なのか、不安そうにしていても気を悪くしないでください。絵師はあなたが、きちんとお金を払ってくれるか、質問に答えてくれるか、イラストを大切に使ってくれるか、などを心配しているのです。

基準は決して高くありません。誠実な依頼、具体的な要望、丁寧なリテイク、そしてきちんとお金を払うことです。

(絵師が不安になるのは、大変残念なことに、その基準に達していない依頼が少なくないからなのです)

この基準をクリアすると絵師はクーポン券を出してくれます。初耳でしょうか。どんな特典があるのでしょうか。次回の依頼では、よりあなたにマッチした絵を描いてくれるクーポンです。

2回目の依頼では、絵師は最初のときよりあなたを信頼しています。ですから、その分のエネルギーを絵に力を回すことができます。そのようにして次第に絵師は最大限の力を出してくれるようになります。

絵師の出す信頼というクーポンを活用しましょう。

どこを向いているのか

信頼を試される顕著な例がターゲットの問題です。

絵師は依頼主がどこを向いているのかを気にかけます。それは「依頼主を喜ばせればいいのか」それとも「お客さんを喜ばせようとすればいいのか」ということです。それがわからないと、やや依頼主よりの依頼になってしまいます。どういうことでしょうか。

絵師側としては、依頼主が気に入ってくれないと、仕事として成立しません。絵師はどんな絵がどんな客層に響くのか知っていますが、依頼主がその層ではない場合がほとんどです。「いい結果を生み出す作品」を作るか、「当面満足してもらえる作品を作るか」迷うわけです。

絵師に信頼していることが伝わるように努力を続けましょう。

避けるべきポイント

どんなに信頼されようと努力しても、絵師に嫌われてしまっては元も子もありません。絵師を不快にさせてしまう言葉がありますので、いくつか紹介します。

「○○さんみたいな絵柄でお願いします」

この言葉は絵師はがっかりさせます。こう思うからです。「私じゃなくて、その絵師さんに依頼すればいいじゃないか」。そうは思ってほしくないですよね。気をつけましょう。

「徹底的に話し合って決めましょう」

絵師と共同でプロジェクトを練り上げたいと思っても、最初の依頼ではやらないようにしましょう。それは強固な信頼関係があって初めてできることだからです。

「このプロジェクトをどう思いますか?」

絵師に意見を求めないでください。それは主要なメンバーで話し合うべき事柄です。それに絵師はすでに絵で語っています。

「予算の件ですが・・・」

値下げ交渉は辞めましょう。たとえそういう文化圏で育ったとしてもです。もし絵師が提示した額が予算より大きい場合は、別の絵師を探してください。

「いただいたイラストについてですが・・・」

完成してから文句は言わないでください。しかし、どうしても修正してほしい状況は生じるものです。そのような時は、絵師を傷つけないように配慮しつつ、新規の依頼として、再度依頼しましょう。

絵師に嫌われないようにしましょう。

依頼にトラブルはつきものです

問題なくスムーズに終わる依頼はほとんどありません。どんなプロジェクトもなんらかのトラブルに見舞われます。プロジェクトが大掛かりになればなるほどそうなります。

ですから、依頼が失敗に終わるのではないかと心配しないでください。心配してもしなくても、トラブルは発生するのですから。

一緒にトラブルを乗り越えましょう。

お金の話はきちんと、さっさと済ませる

お金が絡んでくると打算的になります。絵師もそうです。この依頼はいくらだから、まるまる分のお仕事をしよう、と力を加減します。収入に見合った労働をしたいと思うのは当たり前のことです。

残念ながらもっともトラブルになりやすいのがお金です。同意した金額で、同意した労働を提供したいのです。

絵師も人間です。お金が大切だと感じているのと同時に、良い仕事をしたいと思っています。お金に対して厳しいとしても、それはがめついからではなく、トラブルに巻き込まれたくないから、ひいては絵の仕事に専念し、良い仕事をしたいからです。

本気になるポイントはそれぞれ

ここまで絵師を本気にさせる依頼の仕方について説明してきました。

ここで本末転倒なことを書いてしまうと、本気になるポイントは人それぞれです。少し怒らせると本気になる人もいますし、期限が迫っていると本気になる人もいます。センチメンタルな気持ちになると創作意欲が掻き立てられる人もいれば、穏やかな気持ちこそ創造の源と考える人もいます。

しかし、どのようなトリガーがあるとしても、その人との信頼関係があって初めてわかることです。そしてその信頼関係を築くためにできることは、とても基本的なことでした。最後に学んだことをまとめましょう。

具体的な依頼をはっきりと丁寧に

具体的な依頼をはっきりと丁寧に伝えましょう。誠実さは好感を与えます。リテイクするときでも親切にしましょう。

そうして築かれる信頼が、絵師の力を引き出します。

絵師はプロジェクトのことをほとんど気にかけません。しかし、絵師の力を最大限に引き出すのは、最高のプロジェクトの最高の依頼なのです。

記事のタイトル「絵師を本気にさせる依頼の仕方」| 公開した日付()| 更新した日付(2018年12月21日)| 更新した回数(0回)