絵描きだけが知っているイラストの法則

多くのイラストには隠された法則があります。キャラを可愛く見せたり、世界観を出したりするトリックがあります。でもそれらイラストの法則について見聞きすることは少ないかもしれません。

この記事では1枚のイラストを分析して、イラストに仕込まれた6つの法則を紹介します。

紹介する法則は一般的なものですが、呼び方は私が独自に使っているものです。また解説の題材として、私が最近描いたイラストを使用しています。どうぞご了承ください。

氷の上に立つ少女

このイラストは『夏』というテーマで描きました。夏をイメージする小物が沢山配置されており、また海の生き物も描かれています。軽く伸びをする少女が氷の上に立って、こちらを見ています。

一見すると思いつくままに描いたようにも見えますが、実際にはいくつかの手法を使ってイラストを描いています。それらはデザインの法則としても知られています。

集合したものは1つに見える

1つ目の法則は『集合』です。

例えば、左上に4つの正方形を2つずつくっつけて2列に配置したとしましょう。それは細かく見ると4つの正方形です。しかし、私たちはそれを1つの大きな正方形と認識します。

同じように、氷の上に立つ少女のイラストでは、小物や動物が寄り集まってそれぞれ1つのまとまりに見えるように構成されています。それで見る人は左上と右下の三角形を認識して、その間を一本の帯のようなものが貫いているように見えます。

対称を使って安定感と緊張感を生む

2つ目の法則は『対称』です。シンメトリーとも呼ばれます。

シンメトリーとは左右あるいは上下が対称になるように配置することです。また点対称と呼ばれるものも対称の一種です。シンメトリーを使うと画面に安定感が生まれます。

氷の上に立つ少女のイラストでは、集合で作られた三角形がほぼ点対称になるように配置されています。これによって画面が安定します。また2つの要素を見合わせることによって、独自の緊張感を与えています。

意味を対比させて問題を提起する

3つ目の法則は『意味の対比』です。

絵は言葉ではありませんが、描くものや描き方によってある程度意味を想像してもらうことができます。そして意味同士を対比させることで、シュールさを表現したり問題を定期したりすることができます。

少女のイラストでは、夏を表す人工物と溶けた氷の間を泳ぐ生き物が対比されています。ある人は、夏の小物は楽しさを、海の生き物からは温暖化を連想するかもしれません。そして、それらが対比されていることから、『楽しい夏の裏では、温暖化が進んでいる』などといった問題について考えるかもしれません。

要素に複数の意味を持たせる

4つ目の法則は『複数の意味』です。

イラストの表現では、1つのものに複数の意味を持たせることができます。有名な『ルビンの壺』では、1つの絵が向かい合っている人にも壺にも見えてきます。

氷に立つ少女のイラストでは、中央の帯に複数の意味を持たせています。イルカに注目するとそれは暖かい海ですが、氷やシロクマに注目するとそれは北極の海になります。イラストを逆さから見ると、雲の上の青空に見えますが、望遠鏡に注目すると星空になります。

全身を描くことで形式美を伝える

5つ目の法則は『全身か一部か』です。

全身を描くと形式的な美しさを伝えることができる一方、顔を大きく描くとその人物の感情を伝えることができます。

氷に立つ少女のイラストでは、少女の頭から足まで全身が描かれています。これによって感情を伝えることを抑えつつ、形式的な美しさをイラストに込めようとしています。

白黒で世界観を伝える

6つ目の法則は『白黒効果』です。

色の力はとても強力で様々な効果を与えることができます。一方で白黒でイラストを描くことにより、懐かしさや独特な世界観を伝えることができます。

氷の上に立つ少女のイラストは、白黒で描かれています。色の与える華やかさはありませんが、白黒効果によってどこか懐かしく、また独特な雰囲気を表現しています。

知っているといろいろ便利

これまで1枚のイラストから、それに仕込まれた法則を解説してきました。

法則を知っているとイラストをより楽しむことができます。それを使って意図を上手に伝えたり、作者の意図を汲み取ったりすることができるからです。

それでも理屈じゃない

とはいえ、すべての絵描きが法則を意識して描いているわけでもありません。私も常に法則を考えながら描いているわけではありません。ここまでつらつらと理屈を書いておいて、すみません。

それでは、これからも引き続き、楽しくイラストを見たり描いたりしてゆきましょう。

記事のタイトル「絵描きだけが知っているイラストの法則」| 公開した日付()| 更新した日付(2018年8月7日)| 更新した回数(4回)