私は女の子を描くのが好きだ。男の子を描くより、女の子を描いているときのほうが楽しい。過去の絵を見返して見ても、圧倒的に女の子の絵が多い。男の子を描くこともあるが、やはり女の子のほうが多い。

どうして女の子を描くのだろうか。そう聞かれたら、たぶん困る。答えられないのは、もっと困る。いや、男の子を描く理由を問われたら、さらに困るのかもしれないが。やましい気持ちで描いていると思われたら大変なので、とにかく。

今のうちに理由を考えておこう。

なぜ男の子ではだめなのかを考える。男の子は可愛くないからか。そんなことはない。いたいけな少年の無垢な仕草はとても愛らしい。あるいは男の子は絵にならないからか。そんなことはない。憂いを帯びた少年はとても絵になる。

絵としての男の子と女の子の違いに注目してみる。男の子は直線的に、女の子は曲線的に描かれる。男の子は少しばかり骨ばっていて、筋肉質だ。女の子はそれに比べると丸みを帯びている。どんなに設定を盛り込んでも、女の子として描いた絵は女の子にしか見えないし、男の子として描いた絵は男の子にしか見えない。

男の子を男の子らしく魅せるには、筋肉と骨格をしっかり描く必要がある。これはアナトミーを学んでないとなかなかうまく描けない。それに対して女の子は、身体のパーツをきちんと描いてあげれば、それらしく見せることができる。要するに、女の子を描くほうが難易度が低いのだ。

よく女の子は描けるけど、男の子は描けないという話を見聞きする。逆はあまり聞かない。これは、なるほど単純な話である。まったくの技法的な観点から言えば、女の子を描くほうが男の子を描くより容易なのである。これが1つ目の理由になりそうだ。

理由が1つでは心もとないので、もう少し考えてみる。アニメの男の子と女の子の描かれ方を見ていて気づいたことがある。男の子はヨコ目で描かれることが多いのに対し、女の子はタテ目で描かれることが多い。タテ目とヨコ目について簡単に説明すると、瞳がタテに長いアニメチックな目のがタテ目、実際の目に近い横長に描かれた目がヨコ目だ。

私はタテ目がデフォルメ寄りであるのに対し、ヨコ目がリアル寄りであることに注目した。人物デッサンをするとき、人物をタテ目で描く人はまずいないだろう。まぶたと目の下のラインを描いて、瞳を入れる。ヨコ目はリアル寄りであり、男の子はリアル寄りに描かれることが多い。

私が女の子を描くのは、リアルではなく夢や空想を描きたいと思っているからなのではないか、というやや強引な結論を引き出した。現実にうんざりして絵を描く。どうせなら現実とは違った絵を描きたい。リアルからはやや離れた絵が描きたい。そういう願望が女の子を描かせるのではないだろうか。これが2つ目の理由となる。

これはあくまで私の場合だが、物語に男の子を登場させるときは、主にストーリーに真実味を持たせたいときにそうしている。特に大人の男性を登場させるのときは、話に説得力がほしいときである。親や先生などといった大人が登場すると話が現実的になる。物語の中の大人や男の子は、私にとってはリアル寄りの存在なのだ。

結論はこうなる。技術的にも、感情的にも、リアルではなく夢を描きたいから女の子を描く。

でも、まあ、これを人に言うのは恥ずかしいなあ。もし実際に聞かれたとしても「男の子って描くのが難しいんですよ」ぐらいに返事しておくのが無難だと思う。動物や自然や静物も難しいからって。

え? 言い訳じゃなくて、本当の理由を教えろって。いや、それは、ね。『初めて人に喜んでもらえた絵が、可愛い女の子のキャラクターの絵だったから』だよ。

タイトル: どうして女の子を描くのか言い訳を考える
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最終更新: 2018年6月9日
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